葛木水分神社

葛木水分神社の概要

葛木水分神社（かつらぎみくまりじんじゃ）は、奈良県御所市関屋に位置する神社です。式内社であり、名神大社として古くから知られています。旧社格は村社です。

祭神

この神社では、以下の二柱の神様が祀られています。

天水分神（あまのみくまりのかみ/あめのみくまりのかみ）：天から降る雨水や、天上界の水をつかさどる神様です。
国水分神（くにのみくまりのかみ）：地上を流れる河川や、地上の水をつかさどる神様です。

これらの神様は、総称して水分神と呼ばれ、水配（みくまり）を司る神様として、特に金剛山・葛城山の灌漑用水を管理する神として信仰を集めてきました。

歴史

神社の創建は不詳ですが、国史には承和7年（840年）に水分神の神階が従五位下に昇叙された記録があり、天安3年（859年）には葛木水分神の神階が正五位下に昇叙されています。また、同年には風雨祈願の奉幣があったと伝えられています。

延長5年（927年）に編纂された『延喜式』神名帳には、大和国葛上郡に「葛木水分神社 名神大 月次新嘗」として名神大社に列し、朝廷の月次祭・新嘗祭に際しては幣帛が供えられたと記されています。さらに、『延喜式』の祈年祭や祈雨祭の条にも記述が見られ、祈年祭では官幣に加えて馬一匹が奉納されることが定められていました。

この神社は、吉野[[水分神社]]、宇太水分神社、都祁水分神社と共に、大和国の水分四社の一つとして数えられていますが、特に名神大社として朝廷の崇敬を受けていました。山城国には水分神社が見られないことから、これらの水分四社は、平安京遷都以前に朝廷の政治的な意図によって大和国の主要な水系に配されたと考えられています。

江戸時代には大和国と河内国の間で境水論争が起こり、元禄15年（1702年）には勝訴祈願の石灯籠が奉納されています。現在の例祭日は、この勝訴決裁日に由来すると推測されています。

明治維新後の近代社格制度では村社に列しています。

水分神について

水分神は、水配を司る神として、農業や人々の生活に欠かせない水を守護する神として古くから信仰されてきました。葛木水分神社は、その中でも特に重要な神社の一つとして、人々に敬われてきたのです。

神階

承和7年（840年）10月7日：無位から従五位下（表記：水分神）
天安3年（859年）1月27日：従五位下から正五位下（表記：葛木水分神）

境内

境内は、自然に囲まれた静かな空間であり、訪れる人に安らぎを与えます。古くからの歴史を感じさせる建物や、豊かな緑が、神聖な雰囲気を醸し出しています。

まとめ

葛木水分神社は、古代から続く水の神様を祀る神社として、地域の人々から大切にされてきました。その長い歴史と、神聖な雰囲気を体験しに、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

『奈良県史 5 神社』名著出版、1989年。
上田正昭「水分神」『国史大辞典』吉川弘文館。
「葛城水分神社」『日本歴史地名大系 30 奈良県の地名』平凡社、1981年。
「葛木水分神社」『角川日本地名大辞典 29 奈良県』角川書店、1990年。
池田末則 著「葛木水分神社」、式内社研究会 編『式内社調査報告 第2巻』皇學館大学出版部、1982年。
木村芳一 著「葛木水分神社」、谷川健一 編『日本の神々 -神社と聖地- 4 大和』白水社、1985年。

関連項目

水分神

外部リンク

水分神社 - 御所市観光協会
葛木水分神社 - 奈良県神社庁
葛木水分神社 - 國學院大學21世紀COEプログラム「神道・神社史料集成」

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