葛飾八幡宮

葛飾八幡宮

葛飾八幡宮（かつしかはちまんぐう）は、千葉県市川市八幡に位置する神社で、古くからこの地を見守ってきました。八幡宮の一つであり、この地名「八幡」の由来ともなっています。旧社格は県社で、地域の人々にとって重要な存在です。

祭神

主祭神は以下の三柱です。

誉田別命（ほむだわけのみこと）：応神天皇としても知られる、武運の神。
息長帯姫命（おきながたらしひめのみこと）：神功皇后とも呼ばれ、応神天皇の母。
玉依比売命（たまよりひめのみこと）：神武天皇の母とされる、海の神。

歴史

葛飾八幡宮は、寛平年間（889年 - 898年）に宇多天皇の勅命により、京都の石清水八幡宮を勧請して創建されたと伝えられています。下総国を守護する総鎮守として、古くから武士たちからの信仰を集めていました。特に、平将門、源頼朝、太田道灌、徳川家康といった関東の武将や、千葉氏、上総氏、安房国の里見氏などの大名が深く敬っていたとされています。また、永井荷風、幸田文、幸田露伴、伊藤左千夫、宗左近、大岡信といった多くの文化人も訪れ、親しんだ神社としても知られています。

八幡宮の近くには、「八幡の藪知らず」と呼ばれる禁足地があり、神秘的な雰囲気を醸し出しています。

近年では、2023年9月に社務所、2024年1月には市川市指定文化財である随神門に落書きが発見され、市川警察署が建造物損壊事件として捜査を進めています。

境内

葛飾八幡宮の境内には、本殿の他にいくつかの境内社があります。

厳島社（いつくしましゃ）
祭神：湍津姫命（たぎつひめのみこと）、田霧姫命（たきりびめのみこと）、市杵嶋姫命（いちきしまひめのみこと）
葛飾天満宮
祭神：菅原道真公
正一位 尾上稲荷社（おのえいなりしゃ）
祭神：宇迦御魂之神（うかのみたまのかみ）
八坂社（やさかしゃ）
祭神：建速須佐之男命（たけはやすさのおのみこと）
浅間社（富士塚）（せんげんしゃ）
祭神：木花開耶姫命（このはなのさくやびめのみこと）

この他に、道祖神2社、青面金剛庚申塔、松尾大明神も境内に鎮座しています。これらの配置は、2016年の境内整備により変更されました。

境外社

不知森神社（しらずもりじんじゃ）
八幡の藪知らずの入り口に鎮座しています。

その他

千本公孫樹（せんぼんイチョウ）：推定樹齢1200年の巨木で、国の天然記念物に指定されています。樹高22メートル、根回り10.2メートル、目通り10.8メートルという特徴的な形状をしています。
鐘楼：かつて別当寺であった天台宗の八幡山法漸寺が管理していたものです。
随神門：神仏分離以前は法漸寺の仁王門でした。市川市指定有形文化財です。

境内の入口付近には、市川市役所の八幡分庁舎や市川市八幡市民会館（愛称：全日警ホール）が隣接しています。

文化財

梵鐘：元亨元年(1321年)に鋳造された梵鐘。寛政5年（1793年）に大風で倒れた際、社殿西側のケヤキの根元から掘り出されました。千葉県指定有形文化財です。

行事

葛飾八幡宮では、年間を通して様々な祭事が行われます。

例祭：毎年9月15日に行われる最も重要な祭りで、この日から6日間、農具市（ボロ市）が開催され、多くの人で賑わいます。
三十三周年式年大祭：33年ごとに行われる大祭で、前回は2017年に行われました。次回は2050年に行われる予定です。

その他の主な行事

1月：歳旦祭（1月1日）、年頭祈願祭（成人の日）
2月：節分祭（2月3日）、初卯祭（2月立春後の初卯の日）、紀元節祭（2月11日）、祈年祭（2月17日）
4月：昭和祭（4月29日）
6月：夏越大祓（茅の輪神事、6月30日）
9月：例大祭（9月15日）
11月：新嘗祭（11月23日）
12月：天長祭（12月23日）、年越大祓（茅の輪神事、12月31日）

交通

最寄駅：京成電鉄京成八幡駅、または総武本線・都営地下鉄新宿線本八幡駅

脚注

斎藤幸雄「巻之七 揺光之部 葛飾八幡宮」『江戸名所図会』 4巻、有朋堂書店、1927年、335-338頁。NDLJP:1174161/172。

関連項目

葛飾郡
八幡荘
伊藤左千夫 -『八幡の森』という作品がある。
八幡の藪知らず

外部リンク

* 葛飾八幡宮)

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