韓暹

韓暹（かん せん）

韓暹は、後漢時代末期の武将であり、その生涯は激動の時代を色濃く反映しています。彼の足跡は、正史と小説『三国志演義』で異なり、特に最期については諸説が存在します。

正史における韓暹

韓暹は、并州出身と見られ、当初は河東郡の白波軍という賊軍の頭領でした。李楽、胡才といった人物が仲間の頭領として名を連ね、後に李傕の配下となる楊奉も、かつては白波軍の一員でした。

献帝が長安を脱出した際、韓暹は楊奉や董承に招聘され、李楽・胡才らと共に献帝を護衛する役目を担いました。安邑において献帝から征東将軍に任じられ、洛陽への入城後には大将軍にまで昇りつめます。しかし、その地位を濫用し、部下を勝手に官職に任命したため、董承と対立。曹操が献帝を保護するようになると、韓暹は楊奉と共に略奪を働き、曹操軍に撃破されます。

その後、袁術の下に身を寄せますが、呂布討伐の際に陳珪の説得を受け、楊奉と共に呂布軍に寝返ります。しかし、彼の最期については史書に食い違いが多く、真相は不明です。

『三国志』魏書董卓伝には、劉備に殺害されたと記されていますが、蜀書先主伝では、呂布に徐州を奪われた劉備に攻撃され斬られたとされています。これらの記述は、袁術との戦いに参加したとされる記録と矛盾しており、史実の解釈を難しくしています。

英雄記によれば、楊奉が劉備に斬られた後、韓暹は逃亡し、旧友である張宣に討伐され殺害されたとされています。しかし、この説も、呂布と対立していた劉備が韓暹と面会した理由が不明であるなど、疑問が残ります。

三国志演義における韓暹

小説『三国志演義』にも韓暹は登場しますが、史実とは異なり、李楽の暴虐が強調されているため、目立つ存在ではありません。物語の展開は史実と概ね同様で、曹操に敗れた後、袁術に降伏し、最終的には呂布に寝返ります。

陳珪の策略により、韓暹は沂都に駐屯させられますが、その略奪行為が酷かったため、劉備によって誅殺され、その首級は曹操に献上されるという結末を迎えます。

このように、韓暹の生涯は、史実と物語で異なり、特に最期については様々な解釈が存在します。彼の行動は、激動の時代における武将の生き様を象徴していると言えるでしょう。

参考文献

『後漢書』列伝62董卓伝
同本紀9孝献帝紀
同列伝65呂布伝
『三国志』魏書6董卓伝及び注引く英雄記
同魏書7呂布伝
同魏書14董昭伝
同蜀書2先主伝
『三国演義』

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