董福祥

董福祥の生涯とその影響

董福祥（とう ふくしょう、1840年 - 1908年）は、清朝末期に活躍した軍人であり、甘粛省固原に生まれました。彼の生涯は、戦闘と政治的な動乱に彩られ、特にその厳格な排外主義は彼の行動を大きく左右しました。彼の通称は「星五」で、若いころから軍事に関心を抱いていました。

1862年の同治元年、甘粛と陝西省で起こった回民蜂起に董福祥は父と共に参加します。彼は自ら軍を指揮し、国家に反旗を翻す回民勢力を相手に安化を奪取。しかし、その後、劉松山や甥の錦棠の下に降伏し、董字三営を組織して蜂起を鎮圧する側に転向します。この選択は、彼の後のキャリアに大きく影響を及ぼすこととなります。

1875年以降、董福祥はウルムチやホータンなど、清朝が治める西域の各地を平定し、その功績から1890年にはカシュガル提督、翌年にはウルムチ提督に任命されました。彼の指導する部隊は、清朝の西域における安定を維持し、秩序を取り戻すために重要な役割を果たしました。

董福祥は「臣能なし、唯能く外人を殺すのみ」と語るほどの排外主義を貫きました。彼は、外部からの干渉を厳しく排除しようとし、その姿勢は内政にも反映されました。光緒政変においては、栄禄と連携し光緒帝を幽閉する計画を立て、これによって北京の武衛軍に招かれ、袁世凱の武建軍や聶士成の武毅軍と共に主力として戦いました。

義和団の乱が起こると、彼は主戦論を唱え、北京の公使館包囲軍の中核を成しました。この時期、彼の配下によって日本公使館の杉山彬書記官やドイツ公使が殺害される事件が発生し、董福祥の名声は一気に高まりました。日本を含む八カ国連合軍が北京を攻略すると、彼は西太后や光緒帝と共に北京から脱出しました。

戦後、董福祥は戦争犯罪人として処刑を求められましたが、李鴻章は彼の存在が西域の安定につながることから、彼を殺すことは現実的でないとし、禁錮に止める決断を下しました。1908年、董福祥はこの世を去りましたが、彼の息子は40万両の銀を国家に納めることで父の名誉を回復しました。

董福祥の生涯は、清朝末期の動乱と混乱の一端を象徴しており、彼の名は歴史に強く刻まれています。彼の果たした役割は、当時の中国における軍事的及び政治的な変遷において重要な意義を持っています。

もう一度検索