蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史

『蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史』は、1992年に光栄（現コーエーテクモゲームス）から発売された歴史シミュレーションゲームです。同社の『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズの第3作にあたり、チンギス・ハーンの生涯とモンゴル帝国の興亡を題材としています。プレイヤーは、ユーラシア大陸の統一を目標に、国を経営し、軍を率いて戦います。

ゲームシステム

本作では、前作のシステムをベースに、文化圏と気候という新たな要素が導入されました。これにより、戦略性が大幅に向上しています。

文化圏: ユーラシア大陸を8つの文化圏に分け、文化圏ごとに経済成長の速度や雇用できる兵種が異なります。例えば、中国文化圏やイスラム文化圏は経済成長が速く、「蒙古騎兵」は蒙古文化圏でしか雇用できません。
気候: 熱帯から寒帯までの8つの気候を設定し、気候によって食料生産や災害発生が変化します。温帯の気候は農業に適していますが、乾燥気候では食料が不足しやすくなります。
人事: 政治顧問の役職を新設し、内政を直接操作する直轄地を廃止したことで、人事の重要性が高まっています。武将の能力はAからEまでのランクで評価されるようになりました。
戦闘: 戦闘は「行軍」と「部隊戦闘」に分かれており、部隊戦闘は擬似3Dのバードビュー視点で描かれています。

シナリオ

本作には4つのシナリオが用意されており、それぞれ異なる時代と勢力を選択してプレイできます。

シナリオ1「モンゴル高原の統一」: 1184年からスタートし、テムジンやジャムカなどの族長としてモンゴル高原の統一を目指します。
シナリオ2「チンギス・ハーンの雄飛」: 1206年からスタートし、チンギス・ハーンや源実朝などの国王として、世界制覇を目指します。
シナリオ3「元朝の成立」: 1271年からスタートし、フビライ・ハーンや北条時宗などの国王として、元朝の支配を拡大します。
ユーザーシナリオ「世界への道」: シナリオ1を1214年までにクリアすると出現し、シナリオ1でプレイしていた勢力で、世界編をプレイできます。

プレイステーション版では、さらに「源平の争乱」シナリオが追加され、源頼朝や平清盛などの武将で、日本の歴史を体験できます。

オルド

シリーズの特徴である「オルド」システムも強化されました。オルドでは、后との親密度を深め、子孫を繁栄させることができます。后の機嫌は「愛情ゲージ」で表現され、ゲージが一定以上になると夜を共にすることができます。后との相性や、自身の能力によって、愛情ゲージの上昇率や、懐妊率が変化します。生まれた王子は後継者としてだけでなく、血縁武将としても活躍します。

他機種版

本作は、PC版以外にも、ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジンなど、様々な機種に移植されました。各機種によって、グラフィックやサウンド、ゲームシステムが若干異なります。

ファミリーコンピュータ版: 容量の関係で、オープニングが簡略化されています。
スーパーファミコン版: SFCの機能を利用した演出が追加されています。
* メガドライブ版: 戦闘が2Dに変更されています。

音楽

音楽は大島ミチル氏が担当しており、壮大な世界観を彩っています。サウンドトラックも発売されています。

評価

本作は、各機種でゲーム雑誌のクロスレビューや読者投票で高い評価を得ています。特にメガドライブ版は高評価を得ており、移植版の中でも高い人気を誇っています。

まとめ

『蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史』は、歴史シミュレーションゲームとして非常に完成度が高く、戦略性や歴史の面白さを両立させた作品です。文化圏や気候の概念を導入したことで、戦略の幅が広がり、飽きさせないゲーム体験を提供しています。現在でも、Steamやバーチャルコンソールでプレイすることができ、多くのファンに愛され続けています。

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