蓮ダム

蓮ダムについて

概要

蓮ダム（はちすダム）は、三重県松阪市飯高町の森地に位置する、一級水系櫛田川の支流である蓮川に建設された特定多目的ダムです。このダムは国土交通省中部地方整備局によって建設され、櫛田川水系において唯一の多目的ダム、さらに三重県内では直轄ダムとしても特異な存在です。ダムは、櫛田川と蓮川の治水を図ると同時に、松阪市や志摩半島、周辺の島々へ水供給を行うことを目的としています。ダム湖の名前は「奥香肌湖（おくかはだこ）」と名付けられています。

沿革

南勢地域を流れる櫛田川は、台高山脈を水源とするため、日本有数の降雨量を誇る地域であり、頻繁に集中豪雨が襲います。特に1959年の伊勢湾台風により、櫛田川流域では壊滅的な洪水が発生し、16名の死者や多くの家屋浸水等、大きな被害が生じました。この経緯から、国土交通省は危険を回避するため、堤防の補強や可動堰への改良等の治水対策を実施しました。

その後、1967年に櫛田川が一級水系に指定され、1968年には緊急の河川整備計画が策定されました。この計画では、上流にダムを建設する案が検討される中、交通網が発展した志摩半島では水需要の増加も顕著でした。交通網が整備されるにつれて観光客の増加とともに、地域の水供給が不足する事態に直面します。こうした背景から、治水と利水を兼ね備えた多目的ダムの必要性が段階的に求められるようになりました。

1971年に国土交通省の中部地方整備局が蓮ダムの建設計画を公表し、治水および利水を図るための意義が強調されました。しかし、ダム建設には65戸の住居が水没することから、補償交渉に多くの時間を要しました。このため、1978年には水源地域対策特別措置法の適用対象とされ、住民のための補償策が提案されます。1981年に補償交渉が妥結し、3年後、1991年にダムが完成しました。

主な目的

蓮ダムの主要な目的は、洪水調整や流域の正常な水量維持、そして南勢地域への上水道供給です。また、三重県企業庁が指定した認可出力4,800kWの水力発電も行われています。特に洪水調整については、1994年の豪雨時にもダムの効果を実感され、災害を最小限に抑えることができました。

上水道に関しては、1992年から南勢志摩地域への水供給が始まり、水資源の豊富な中勢地域から希少な水を供給しています。この事業により、慢性的に水不足に悩まされていた志摩半島や周辺の島々の水供給が改善され、多くの住民に恩恵をもたらしました。

奥香肌湖

蓮ダムによって形成された奥香肌湖は、1990年に一般公募により名付けられました。この湖は美しい自然に囲まれており、観光資源としても注目されています。秋には紅葉が湖面を彩り、定期的に開催される「奥香肌湖マラソン大会」や、釣りを楽しむこともできます。ただし、ブラックバスなどの外来魚は再放流が禁止されています。

アクセス

駐車場は伊勢自動車道・松阪インターチェンジから国道166号を経由し、奥香肌峡温泉方面に進むことでアクセス可能です。公共交通では、JR紀勢本線の松阪駅からバス利用後、徒歩でのアクセスが求められます。

このように、蓮ダムは多様な利点を持ち、地域に不可欠なインフラとして機能しています。

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