蔡道恭

蔡道恭（さい どうきょう）

蔡道恭は、生年不詳ながら南朝斉から梁にかけて活躍した軍人であり、字を懐倹と称しました。その出自は南陽郡冠軍県にあります。

生涯

蔡道恭は、宋の益州刺史であった蔡那の子として生まれました。蕭長懋が雍州に赴任した際、その能力を認められ、雍州主簿に抜擢され、員外散騎常侍の位を授けられました。その後も、数々の戦で功績を重ね、越騎校尉、後軍将軍と順調に昇進。斉の時代末期には、輔国司馬・汝南県令として地方へ赴任しました。南康王蕭宝融が荊州に赴任すると、その推薦により西中郎中兵参軍となり、輔国将軍の位を加えられました。

永元2年（500年）に蕭衍が兵を挙げると、蔡道恭は彼の傘下に入り、冠軍将軍・西中郎諮議参軍として活躍しました。中興元年（501年）に蕭宝融（和帝）が即位すると、右衛将軍に任じられました。巴西郡太守の魯休烈らが蕭衍に対して反旗を翻すと、蔡道恭は持節・督西討諸軍事として鎮圧に当たり、見事に彼らを降伏させました。この功績により中領軍への転任を打診されますが、固辞し、使持節・右将軍・司州刺史として再び地方へ赴任することを選びました。

天監元年（502年）、梁が建国されると、その功績により漢寿県伯に封じられ、平北将軍に進みました。天監3年（504年）、北魏の中山王元英率いる大軍に司州を包囲されるという危機に直面します。蔡道恭は、僅か5000人に満たない兵力で、100日以上にわたり司州城を死守しました。しかし、奮戦むなしく病に倒れ、同年5月に息を引き取りました。曹景宗率いる援軍も間に合わず、8月には司州城も陥落してしまいました。蔡道恭の死後、その功績を称えられ、使持節・都督司州諸軍事・司州刺史・漢寿県開国伯のまま、鎮西将軍の位が追贈されました。

天監8年（509年）には、北魏から蔡道恭の遺体が返還され、故郷である襄陽に手厚く葬られました。

子の蔡澹嗣は、父の功績により河東郡太守に上り、その名を後世に残しました。

伝記資料

『梁書』巻10 列伝第4
『南史』巻55 列伝第45

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