蕭恵基

蕭恵基（しょう けいき）

蕭恵基（430年 - 488年）は、南朝宋から斉にかけての官僚・軍人であり、南蘭陵郡蘭陵県を本貫とします。征西将軍・儀同三司の蕭思話を父に持ち、江夏王劉義恭の娘を妻としました。

生涯

著作佐郎を初任とし、征北行参軍、尚書水部、左民郎などの官職を歴任しました。湘東郡内史として地方に出向した後、奉車都尉に任じられ、撫軍車騎主簿を務めました。

泰始2年（466年）、兄である益州刺史の蕭恵開が宋の明帝に反乱を起こした際、恵基は明帝の命を受け、使者として益州に赴き、兄の説得を試みました。恵開は明帝に帰順しましたが、益州の現地民の反抗に遭い、氐族の軍勢が成都を包囲しました。恵基は朝廷の威信を背景に説得工作を行い、氐の邵虎・郝天賜らが反乱軍の首領である馬興懐を斬って降伏しました。この功績により、恵基は建康に召還され、太子中舎人となりました。その後、武陵郡内史として再び地方に出向し、中書黄門郎に任じられました。

恵基は隷書と囲碁に長けており、蕭道成にその才能を認められ、厚遇を受けました。元徽2年（474年）、桂陽王劉休範が反乱を起こした際には、姉が劉休範の妃であったにもかかわらず、蕭道成の下で軍副を務め、反乱の鎮圧に貢献しました。その後、豫章郡太守として出向し、召還されて吏部郎、さらに長に転じて侍中を兼ねました。昇明元年（477年）、袁粲・劉秉が挙兵する前に、妹が劉秉に嫁いでいたため、蕭道成は王敬則を恵基のもとに派遣し、その意向を探らせました。恵基が劉秉に味方する意思がないことを確認した蕭道成は、ますます恵基を重用しました。沈攸之の乱が起こると、恵基は輔国将軍の号を加えられ、鎮圧のために新亭に駐屯しました。昇明2年（478年）に乱が鎮圧されると、将軍号を解かれ、長水校尉を兼ねました。母の死により、一時官を離れました。

建元元年（479年）、蕭道成が斉の皇帝として即位すると、恵基は征虜将軍・衛尉に任じられました。喪中であったため解任を願い出ましたが、許されませんでした。喪が明けると、征虜将軍・東陽郡太守となりました。宋・斉の時代を通じて4つの郡で内史や太守を歴任しましたが、収奪や蓄財は一切行いませんでした。建康に召還され、都官尚書となり、後に掌吏部に転じました。永明3年（485年）、長年の病により職を辞し、侍中となり、驍騎将軍の号を受けました。永明5年（487年）、太常に転じ、給事中の位を加えられました。武帝の命により、南郡王蕭昭業の加冠の儀式のために派遣されました。

永明6年（488年）に死去。享年59歳。金紫光禄大夫の位を追贈されました。子に蕭洽がいます。

人物・逸話

恵基は、益州に派遣された部下たちの功績を公平に評価するため、叙勲簿を破棄し、格差をつけないようにしました。その理由を尋ねられた際、「もし部下たちの労苦を評価するなら、私心なく駆けつけた人々を評価してどうして差をつけることができるだろうか」と答えました。

音楽にも造詣が深く、雅楽の正声を好み、魏三祖の曲と「相和歌」を愛しました。演奏されるたびに、忘我の境地に浸っていたと伝えられています。

囲碁にも精通しており、当時の棋士の格付けにも関わりました。尚書令の王倹とは公務以外で私的な付き合いを避けました。

父の蕭思話が建てた曲阿の邸宅は、閑雅で広壮なことで知られていましたが、恵基は「娘を嫁に出し終えたら、古い廬に帰るべきだろう」と語っていました。立身出世しても引退する際はあっさりとしていたため、朝廷では善士と称えられました。

伝記資料

『南斉書』巻46 列伝第27
『南史』巻18 列伝第8

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