藤原乙牟漏

藤原乙牟漏の生涯と業績

藤原乙牟漏（ふじわら の おとむろ、760年 - 790年）は、日本の第50代天皇である桓武天皇の皇后として知られています。彼女は平城天皇と嵯峨天皇の母でもあり、藤原鎌足の玄孫として、藤原家の歴史において重要な役割を果たしました。

家族と背景

藤原乙牟漏の父は、藤原式家に属する藤原良継で、母は阿倍粳蟲の娘であり、尚侍兼尚蔵を歴任した阿倍古美奈です。乙牟漏は、山部親王（後の桓武天皇）に嫁ぎ、774年に小殿親王（のちの安殿親王）を出産しました。この結婚は、藤原家の影響力を高める重要なつながりとなりました。

皇后としての地位

781年4月15日、山部親王が即位して桓武天皇となり、藤原乙牟漏はその後の天皇の影響を強化することになります。783年には彼女は無位から正三位へと昇進し、同年4月に皇后に就任しました。この際、彼女の母としての才能や皇后としての資質が重要視され、高く評価されることとなります。

785年には、彼女の子である安殿親王（後の平城天皇）が立太子され、さらに786年には神野親王（後の嵯峨天皇）を出産しました。これにより、彼女は天皇一家にとっての重要な位置を築くこととなります。789年には高志内親王を出産し、彼女の子どもたちは後の日本の天皇家に大きな影響を与えました。

乙牟漏の死とその後

藤原乙牟漏は790年4月28日に31歳で崩御しました。彼女は長岡陵（現在の京都府向日市）に葬られました。彼女の死後、大同元年（806年）には平城天皇によって皇太后に追贈され、その業績や存在が改めて評価されることとなります。

彼女の評価

『続日本紀』によると、藤原乙牟漏はその性格が柔らかであり、美しい容姿を持っていたと記されています。また、礼儀正しさや母としての徳も高く評価され、周囲の人々から深く愛されたことが示されています。「后性柔婉にして美姿あり。儀、女則に閑って母儀之徳有り」という記述は、彼女の人柄や存在が、当時の社会でどれほど重要であったかを物語っています。

結論

藤原乙牟漏は、桓武天皇の皇后としてだけでなく、平城天皇と嵯峨天皇の母としても、奈良時代の日本の歴史に大きな影響を与えた人物です。彼女の生涯は、当時の社会における女性の地位や役割を考える上でも大変興味深いものであり、その遺産は今もなお評価されています。

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