藤原保昌

藤原保昌について

藤原保昌（ふじわら の やすまさ）は、平安時代中期に活躍した貴族で、藤原南家の出身です。彼は右京大夫藤原致忠の子として生まれ、官位は正四位下・摂津守に至りました。保昌は摂津守の任にあったことから、平井保昌とも称されることがあります。特に彼の経歴には多くの官職や伝説があり、その業績は今に語り継がれています。

経歴

保昌は円融院判官代を務めた後、一条朝において九州地方の地方官として日向守や肥後守、大宰少弐などに就任しました。特に、寛弘7年（1010年）には正五位下に叙せられ、さらに寛弘8年（1011年）には従四位下に昇進しました。また、長和2年（1013年）には大和守兼左馬権頭に任ぜられるなど、様々な役職を歴任しました。彼は後に丹後守となり、和泉式部と共に任国に下ることもありました。最終的に彼は摂津守として正四位下の位に達し、藤原道長や頼通の家司としても知られています。保昌は長元9年（1036年）に79歳でこの世を去りました。

伝説

長野県大町市の霊松寺には、保昌にまつわる伝説があります。正暦3年（992年）、彼が信濃鎮撫使として仁科に着任した際、保昌の菩提を弔うために、孫の保近が長元9年に居館を「保昌院」と改称したという言い伝えが残っています。

人物

保昌は武勇に優れ、源頼信、平維衡、平致頼と共に道長四天王と称されました。また、彼は女流歌人の和泉式部と結婚したことでも知られています。さらに、保昌自身も歌人であり、『後拾遺和歌集』には彼の和歌が1首採録されています。中世文学では坂上田村麻呂や源頼光と共に、伝説的武人の一人として名を知られています。

説話

保昌に関する興味深い説話が『今昔物語集』に収められています。ある10月の朧月の夜、一人で笛を吹いて道を行く保昌に対して、盗賊の首領袴垂が衣装を奪おうと後をつけますが、恐れをなして手を出せませんでした。保昌は逆に袴垂を自宅に招き、衣を与えるのですが、逆に袴垂は慌てて逃げてしまったという話があります。また、保昌が丹後国に向かう途中、白髪の老武者に出会った際の逸話も有名で、彼が平致経の父である平致頼と知ったという話など、保昌の優れた洞察力を示しています。

官歴

保昌の官歴は以下の通りです：

• - 永延2年（988年）10月29日：見円融院判官代
• - 正暦3年（992年）1月20日：日向守
• - 寛弘2年（1005年）8月13日：肥後守
• - 寛弘7年（1010年）5月7日：見前大宰少弐、11月20日：叙位（正五位下か）
• - 寛弘8年（1011年）8月11日：従四位下
• - 長和2年（1013年）正月頃：大和守、4月15日：兼左馬権頭
• - 寛仁4年（1020年）頃：丹後守
• - 治安3年（1023年）正月23日：見丹後守
• - 万寿2年（1025年）正月29日：大和守、元左馬頭
• - 長元7年（1034年）11月8日：見摂津守
• - 長元9年（1036年）9月：卒去（摂津守正四位下）

系譜

父は藤原致忠、母は元明親王の娘であり、妻は和泉式部です。彼には息子の快範が存在します。藤原保昌は、平安時代の貴族としての存在だけでなく、歌人としての業績や武人としての伝説を持つ重要な人物です。

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