藤原季通

藤原季通の生涯と業績

藤原季通（ふじわら の すえみち）は、平安時代後期に活躍した公家であり、歌人でもあります。彼は藤原北家中御門流に属し、権大納言の藤原宗通の三男として生まれました。官位としては正四位上・備後守を歴任しました。

経歴の概要

季通は和歌を愛し、また管弦楽器の演奏にも秀でていました。特に琵琶や笛、箏といった楽器においてその才能を発揮し、白河上皇からの信任が非常に厚かったことで知られています。しかし、若い時に箏の師匠である藤原璋子（後の鳥羽天皇の中宮）との間に不適切な関係があったとされ、その後、官途においては不遇な立場に置かれました。

左近衛少将を歴任した後、白河院政時代の中期から後期にかけて、美濃守や備後守の役職を持つようになりました。康治元年（1142年）には、弟たちと比較して低い官位にあったことを内大臣・藤原頼長が憐れみ、正四位下に叙せられました。その後、久安5年（1149年）には正四位上に昇進するものの、備後守を辞してからは長い間散位のままで、公卿昇進を達成することができませんでした。なお、保元3年（1158年）頃まで生存していたと考えられていますが、彼の没年は定かではありません。

人物像

季通は幼少期に、兄の伊通と共に伯母の藤原全子の元を訪れたことがあります。その際、全子は「兄の方は将来大臣になるが、弟は凡愚で終わるだろう」と評したとされています。残念ながら、政治的な面では生涯を通じてそれほどの才能を発揮できず、文化・芸術においてその名を遺すこととなりました。

歌人としての活動も見逃せません。彼は永久4年（1116年）に行われた鳥羽殿北面歌合に参加し、多くの作品が後世の和歌集に収められています。『千載和歌集』などの勅撰和歌集には、季通の作品が16首収録されています。また、彼自身の和歌集『季通朝臣集』も伝わっています。

官歴

季通の官歴は以下の通りです。

• - 時期不詳：左近衛少将
• - 天仁2年（1109年）9月6日：見美濃守
• - 天永3年（1112年）正月27日：備後守
• - 元永2年（1119年）7月：見備後守
• - 康治元年（1142年）正月5日：正四位下
• - 久安5年（1149年）3月20日：正四位上

系譜

藤原季通の家族関係は複雑であり、父は藤原宗通、母は藤原顕季の娘であるとされています。子供には六人の男子が確認されており、特に長男の藤原伊長は「少納言」と呼ばれていた人物で、源頼政からの依頼で以仁王の人相を占ったことでも知られています（『平家物語』）。

脚注

藤原季通は、その功績において和歌や音楽の面での才能が高く評価されており、平安時代の文化の発展に寄与した人物と言えるでしょう。彼の作品や経歴は、その時代の公家社会を知る上でも重要な資料となっています。

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