藤原家緒

藤原家緒（ふじわら の いえお）は、平安時代初期に生きた貴族です。別名として藤原家雄とも記されます。藤原式家出身であり、左大臣を務めた藤原緒嗣の長男として生まれました。

経歴

家緒は弘仁13年（822年）に従六位上から三階級昇進し、従五位下に叙爵、美濃介に任ぜられます。弘仁14年（823年）には、従兄弟にあたる淳和天皇が即位すると、従五位上・右近衛少将に叙任されました。天長3年（826年）には、正五位下、次いで従四位下へと異例の昇進を遂げ、左兵衛督に任ぜられます。天長8年（831年）には蔵人頭に、天長9年（832年）正月には従四位上に叙任され、公卿の地位を目前にしながらも、同年3月20日に34歳という若さで亡くなりました。最終官位は左兵衛督従四位上でした。

人物

父である緒嗣の家風を受け継ぎ、清廉潔白な人柄であったと伝えられています。学問にも励み、典籍を深く理解していたことに加え、弓術にも優れていました。大臣として朝政への参画を期待されていましたが、若くして亡くなったため、その才能を十分に発揮することはできませんでした。

特記事項

家緒に対する人物評は、『日本後紀』に記されていますが、この『日本後紀』の撰者は、他ならぬ父である緒嗣です。つまり、父が自らの息子を国史において評価したという、異例の記事となっています。

官歴

以下は『日本後紀』に記載された家緒の官歴です。

時期不詳：従六位上
弘仁13年（822年） 正月7日：従五位下。日付不詳：美濃介
弘仁14年（823年） 11月20日：従五位上。日付不詳：右近衛少将
天長3年（826年） 8月13日：正五位下。8月21日：従四位下。日付不詳：左兵衛督
天長8年（831年） 7月：蔵人頭。日付不詳：兼伊予守
天長9年（832年） 正月7日：従四位上。3月20日：卒去（官位は左兵衛督従四位上）

脚注

* 森田悌『日本後紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、2007年

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