藤原広嗣の乱

藤原広嗣の乱

藤原広嗣の乱は、奈良時代に発生した内乱で、広嗣が政権への不満から九州の大宰府で挙兵したことが発端となります。しかし、この反乱は官軍によって迅速に鎮圧されました。この内乱は、当時の日本の政治状況や外交関係の変化に深く関わっており、藤原氏の権力の変遷が背景にあります。

経緯と背景

この内乱は、藤原不比等政権の末期に端を発します。時代が進むにつれて日本は新羅との間で安定した外交を築き、これにより軍事力の縮小が進みました。長屋王の時代もこの軍縮路線が維持されていましたが、その後藤原四兄弟による権力の掌握が進みました。彼らは唐と敵対する渤海との同盟を結び、新羅に対する軍事圧力を強めました。

しかし、天平9年（737年）に藤原四兄弟が次々と天然痘で亡くなり、政治権力が揺らぐ中、橘諸兄が新たに政治の指導者となります。彼は軍拡政策を見直し、以前の軍縮方向へ舵を切ることを決定します。

この流れの中で、広嗣は天平10年（738年）に大宰府に任命されましたが、対新羅強硬派として知られる彼はこれを左遷と受け取り、自らの不満を持っていました。広嗣は新羅使の迎接にさえ不満を抱き、政治活動を活発化させました。

挙兵の決断

天平12年（740年）8月、広嗣は遣新羅使の追い返されたことに憤り、速報を発表して中央の政治を批判しました。同時に彼は筑前国に軍を動員し、挙兵の準備を整えました。広嗣の不満は中央への反発だけでなく、自身の支持基盤を構築するための動きだったとも言えます。彼は多数の支持者を抱え、反乱が成功することを期待していました。

9月3日、広嗣が挙兵したという情報が都に届くと、聖武天皇は大野東人を大将軍に任じて反乱を鎮圧するよう命じました。その後、反乱軍と官軍の戦が始まります。

戦闘と結果

9月21日、大野東人が長門国に到着し、軍を集結させましたのちに反乱軍が奇襲攻撃を仕掛け、戦闘が激化しました。戦闘は数日間続き、最終的には広嗣軍が敗北を喫します。

広嗣は逃げ延びるものの、最終的に捕らえられ、11月には捕虜となり処刑されました。彼の反乱は、もともとの意図とは裏腹に終わりを迎えました。

乱の aftermath

藤原広嗣の乱の結果、死罪や流罪の処分が行われ、多くの者が厳罰にされました。詳細な処分内容は、死罪16人、没官などさまざまな規模にわたるものであり、その影響は広範囲に及びました。これにより、藤原氏やその関連者は権力を再構築するための新たな戦略を考える必要に迫られました。

この乱の鎮圧後、聖武天皇は急遽都を離れたことが歴史に残されています。広嗣の乱の影響は、聖武天皇の政権運営にも波紋を広げ、彼は以降の政局において動揺を覚えることとなりました。ナラ時代の複雑な政治情勢を象徴する出来事として、藤原広嗣の乱は歴史に位置づけられています。

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