藤原登子

藤原登子の生涯

藤原登子（ふじわらのとうこ）は平安時代中期の女性で、右大臣藤原師輔の次女として生まれました。彼女の母は武蔵守藤原経邦の女、盛子であり、同母兄弟には伊尹、兼通、兼家、安子（村上天皇の中宮）などがいます。登子は後に式部卿重明親王の継室となり、村上天皇の後宮にも迎え入れられました。さらに、尚侍に任じられ、従二位を授かるなど、権力の中でも重要な役割を果たしました。

生い立ちと結婚

藤原登子は天暦2年（948年）、43歳の重明親王と結婚し、継室となります。重明親王の最初の妻は登子の叔母にあたる藤原忠平の次女、寛子であり、寛子の娘である徽子女王とは同年代でした。このため、登子は徽子女王と同じく宮廷内での教育を受けながら、重明親王との間に二女をもうけることになりました。

村上天皇との関わり

村上天皇との関係が始まるのは、登子の同母姉の中宮・安子が影響を与えたとされています。『大鏡』や『栄花物語』によると、登子は安子を通じて天皇の目に留まり、その美貌が忘れがたくなった村上天皇は、中宮に頼みこんで登子との密会を実現させたとされています。

天暦8年（954年）に重明親王が亡くなると、登子は村上天皇のもとへ入内し、王の寵愛を受けることとなりました。しかし、彼女の入内は周囲から非難されました。それにもかかわらず、村上天皇は彼女を愛するあまり、政務をも放棄し、しばしば彼女と共に過ごすことを選んだのです。

偉大な愛と立場

康保4年（967年）には村上天皇が崇敬の念を持って登子のそばにいることが描かれています。登子は皇女保子内親王の琴の演奏の場にも同席し、天皇の信任を受ける存在となっていました。『蜻蛉日記』には、村上天皇の崇拝が強く、他の女御たちからの妬みを受けたことも記されています。その一方で、登子の父である師輔が亡くなった後、自らの立場が非常に幸運であったと評されていたことも、彼女の人生の一部です。

後の展開

村上天皇が亡くなると、登子の運命は再び変わります。同年9月には新帝の冷泉天皇が皇太子に立てられ、登子は守平親王（後の円融天皇）の養育を担うことになりました。彼女は「東宮の御親」のような立場となり、円融天皇の成長に関与します。安和2年（969年）には従四位上に叙され、同年中には尚侍にも選ばれるなど、さらに地位を揺るがします。

天禄元年（970年）に従三位、天延元年（973年）には従二位への昇叙も果たし、彼女の権力は確立されていきます。しかし、天延3年（975年）、藤原登子はその生涯を閉じました。彼女の生き様は、平安時代の女性が持ちえた権力の象徴とも言えるでしょう。

参考文献

• - 西丸妙子「尚侍藤原登子について－斎宮女御徽子との関連において」（『福岡国際大学紀要』2号、1999年7月）。
• - 角田文衛監修『平安時代史事典』角川書店、1994年。

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