藤原実季

藤原実季（ふじわら の さねすえ）は、平安時代後期の公卿です。藤原北家閑院流で、権中納言・藤原公成の次男として生まれました。最終的な官位は正二位・大納言で、死後に正一位・太政大臣が追贈され、「後閑院贈太政大臣」と呼ばれています。

実季の曾祖父は、閑院流の祖である太政大臣・藤原公季でしたが、実季の代になると閑院流は藤原氏の嫡流からは大きく外れていました。そのため、父・公成が28歳で参議となったのに対し、実季は30歳になっても官位は正五位下と、昇進は遅れていました。

しかし、実季の妹である茂子が、藤原能信の養女として皇太子・尊仁親王（後の後三条天皇）の妃となり、第一皇子の貞仁親王（後の白河天皇）を始め、一男四女を産んだことが、実季の運命を大きく変えます。実季は尊仁親王の信任を得て、治暦4年（1068年）に尊仁親王が即位すると、翌延久元年（1069年）には蔵人頭に、延久4年（1072年）には参議へと、天皇の近臣として急速に昇進し、一躍公卿の仲間入りを果たしました。

後三条天皇の崩御後、貞仁親王が即位（白河天皇）した後も、実季は天皇の外伯父として引き続き信任を得て、正二位・大納言にまで昇進しました。そして、実季の死後、娘の藤原苡子が堀河天皇に入内し、鳥羽天皇の生母となったことで、天皇の外祖父として正一位・太政大臣が追贈されたのです。

官歴

永承元年（1046年）：従五位下
永承6年（1051年）：侍従
天喜6年（1058年）：従五位上
康平4年（1061年）：左近衛少将
康平5年（1062年）：備前権介
康平7年（1064年）：正五位下
治暦2年（1066年）：従四位下
治暦4年（1068年）：備中介、従四位上
延久元年（1069年）：左中将、蔵人頭、兼左京大夫
延久2年（1070年）：正四位下、兼美作権守、右中将
延久4年（1072年）：右兵衛督、参議
延久5年（1073年）：検非違使別当、左兵衛督、従三位
延久6年（1074年）：兼中宮権大夫、兼近江権守、正三位、権中納言
承保2年（1075年）：従二位、右衛門督、正二位
承暦3年（1079年）：左衛門督
承暦4年（1080年）：権大納言、兼春宮大夫
永保3年（1083年）：大納言

系譜

父：藤原公成
母：藤原定佐の女
妻：藤原睦子 - 藤原経平の女
長男：藤原公実（1053-1107）
次男：藤原保実（1060-1102）
三男：藤原仲実（?-1122）
長女：藤原苡子（1076-1103） - 堀河天皇女御、鳥羽天皇の母
* 養子女：藤原顕季（1055-1123）

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