藤原継蔭

藤原継蔭について

藤原継蔭（ふじわら の つぐかげ）は、平安時代前期に活躍した日本の貴族です。彼は藤原北家真夏流に属し、参議を務めた藤原家宗の子です。その経歴は、平安時代の政治や社会の動向を理解する上で貴重な資料となっています。

経歴の概要

継蔭は、貞観13年（871年）に文章生に任命されました。これは文官としてのキャリアの始まりであり、以降官僚としてさまざまな職務を歴任します。彼はまず、宮内少丞や式部少丞、さらには式部大丞に昇進し、政治的な地位を固めていきました。さらに、元慶5年（881年）に従五位下に叙任され、三河守兼木工頭に任命されることになります。

仁和元年（885年）には伊勢守に任命され、同年の正月には従五位上に昇進しますが、任地である伊勢国に移るのが遅れたため、平安京にとどまっていた他の国司と共に召問されることとなります。このような出来事は、当時の官僚制や地域管理の実情を反映しています。

同年9月には、伊勢神宮を訪れていた斎王・繁子内親王が宿泊していた頓宮近くで火災が発生しました。この事態に対応するため、彼は消防の指揮を取る近衛を派遣しましたが、強風の影響で頓宮は焼失してしまったのです。この出来事は、藤原継蔭の責任と権限の範囲を示すエピソードとして歴史に残っています。

宇多朝の寛平3年（891年）には大和守に任命され、その後も薩摩守や隠岐守など地方の役職をいくつも歴任しました。彼のキャリアは、平安時代の貴族としての役割と政治の複雑さを理解する手がかりを提供してくれます。

官歴の詳細

以下に、藤原継蔭の官歴を整理します。

• - 貞観13年（871年） 4月17日：文章生
• - 貞観15年（873年） 2月22日：宮内少丞
• - 元慶2年（878年） 正月14日：式部少丞
• - 元慶3年（879年） 正月：式部大丞、または蔵人
• - 元慶5年（881年） 2月14日：従五位下、2月15日：三河守兼木工頭
• - 仁和元年（885年） 8月15日：伊勢守
• - 仁和2年（886年） 正月7日：従五位上
• - 仁和3年（887年） 2月2日：再度伊勢守
• - 寛平3年（891年） 正月：大和守

また、彼の子女には女子が一人おり、伊勢酒井を起源とする家系が形成されたとされています。彼の母は藤原山蔭の娘であり、父との家族関係は平安時代の貴族社会の特徴を示しています。

参考文献

藤原継蔭に関連する情報は、武田祐吉、佐藤謙三訳の『読み下し 日本三代実録 下巻』や、『尊卑分脈 第二篇』にて詳しく述べられています。これらは彼の官歴や家系を理解するための重要な資料となっています。

もう一度検索