藤沢武

藤澤 武（ふじさわ たけし）

NHKの元エグゼクティブアナウンサー。

1946年12月29日生まれ。

大分県立津久見高等学校を経て日本大学を卒業後、1970年にNHKに入局しました。

アナウンサーとしての歩み

現役時代、藤澤氏は北海道を除く日本のほぼ全ての地域、すなわち九州、四国、中国、近畿、中部、関東、東北といった広範なエリアで勤務しました。多様な地域の文化や人々に触れながら、アナウンサーとしてのキャリアを積んでいきました。

特に、その長きにわたるキャリアにおいて、スポーツ実況の分野で顕著な活躍を見せました。中でも、『大相撲中継』における実況は特筆されます。輪島、貴ノ花（初代）、北の湖、千代の富士といった昭和から平成にかけて相撲界を彩った大横綱たち、そして若乃花・貴乃花兄弟による若貴フィーバーの時代を経て、千代大海が登場した1999年の初場所まで、実に23年もの長きにわたり、土俵の熱戦や力士たちの息遣いを視聴者に伝え続けました。その声は、多くの相撲ファンにとって、時代の名勝負とともに記憶されています。大相撲以外にも、高校野球など様々なスポーツ中継で実況を担当し、臨場感あふれる言葉でアスリートたちのドラマを伝えてきました。

スポーツ実況の第一線から退いた後は、活躍の場を報道に移し、ニュースアナウンサーとして新たな分野に挑みました。正確かつ冷静な語り口で、様々なニュースを伝えました。

NHKを定年退職後、2010年頃までは嘱託アナウンサーとして活動。この期間には、『NHK BSニュース』のキャスターを務めたほか、テレビやラジオの国際放送を含む短時間ニュースの補助、さらには『株式市況』、『気象通報』、『ラジオ版の海外安全情報』といった幅広い情報番組で、その豊富な経験を活かしました。

2011年からは、NHK鳥取放送局にシニアスタッフとして赴任し、地方局の放送を支える役割を担いました。2013年3月までこの職を務め、地域に根ざした放送に貢献しました。

現在の活動と人物

現在も、アナウンサーとして培った経験を後進の指導や地域活動に活かしています。NHK文化センター米子教室などで朗読の指導にあたり、言葉の持つ力や表現の奥深さを教えています。また、大相撲の本場所が終了した際には、NHK鳥取のニュース番組に出演し、場所全体の総括や注目力士について解説する講評を担当しており、相撲ファンにはお馴染みの存在です。

プライベートでは釣りを趣味としており、穏やかな時間を過ごしているようです。

1970年入局の同期には、青木健一、朝妻基祐、浅見忠司、生熊雅夫、板谷直実、井上元、大滝重輿、小柳実、木村知義、金城紀昭、久保慶子（旧姓：伊藤）、黒沢典之、桑原堯、向後雅博、古賀成治、斉藤正安、榊寿之、柴田実、田沢真、田中久雄、谷口俊二、寺田道雄、中谷成子（旧姓：尾関）、二宮正博、野島正興、深草耕太郎、藤野寿一、二見和男、増渕路子（旧姓：佐藤）、丸山晃、三杉栄、宮川俊二、宮田修、室井民雄など、多数のアナウンサーが名を連ねており、当時のNHKにおける大規模な採用であったことがうかがえます。

藤澤武氏は、全国各地での勤務経験、長年にわたるスポーツ実況、特に大相撲実況での功績、そして報道アナウンサーとしての経験を通じて、多岐にわたる分野で活躍したNHKのベテランアナウンサーです。その経験は、現在の朗読指導や相撲講評といった活動にも活かされています。

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