藤田麻衣子 (女流棋士)

藤田麻衣子

藤田麻衣子氏（旧姓：比江嶋、1973年8月3日生）は、かつて将棋の女流棋士として活躍し、現在は将棋観戦記者やデザイナーなど多岐にわたる分野で活動しています。愛知県豊田市で育ち、南山中学校・高等学校を経て、東京工業大学理学部化学科を卒業しました。女流棋士としては伊藤果七段に師事。日本将棋連盟に所属していた頃の女流棋士番号は42、後に移籍した日本女子プロ将棋協会（LPSA）での番号は14でした。

経歴

幼少期から将棋との出会い

幼少期はモンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園に通いました。ゲーム好きな家庭で育ち、小学生の頃から様々なゲームに親しみました。父親の影響で囲碁も始めましたが、そちらはあまり上達しませんでした。将棋との出会いは大学時代、21歳の頃です。勉強に行き詰まりを感じていた時期に、ルールを一度覚えれば応用が利く将棋の奥深さに魅力を感じ、その世界に入りました。

女流棋士として

1996年4月に日本将棋連盟の女流育成会に入会し、翌1997年10月には女流2級としてプロ棋士の仲間入りを果たします。得意戦法は矢倉でした。2004年4月1日には女流王将戦の本戦入りを決め、女流1級に昇級しています。2002年4月から2004年3月にかけては、女流育成会の幹事も務めています。2005年6月に結婚し、同年10月1日からは棋士名も旧姓の比江嶋から藤田へと改めました。

2007年5月には日本女子プロ将棋協会（LPSA）の設立に参加し、同年6月に日本将棋連盟からLPSAへ移籍しました。この際、日本将棋連盟への移籍・残留表明は最後に行ったとされています。LPSAでは、協会のウェブサイト作成・運営をはじめ、「日めくり詰め将棋カレンダー」といったグッズの企画・デザイン、さらには協会ロゴマークのカラーデザインなど、多岐にわたる業務を担当しました。また、北尾まどか女流二段が考案した「どうぶつしょうぎ」のデザインも手掛けています。2010年3月31日をもって女流棋士を引退し、同時にLPSAからも退会。女流棋士としての活動に終止符を打ちました。

引退後の多彩な活動

LPSA退会後は「ピエコデザイン（piecodesign）」を開業し、主に「どうぶつしょうぎ」の普及や将棋関連のデザイン業務を活動の中心としています。将棋の観戦記者としても精力的に活動しており、「紬」のペンネームで様々な棋戦のネット中継記事を執筆しています。2015年には、その功績が認められ、第27回将棋ペンクラブ大賞の観戦記部門で優秀賞を受賞しました。

アマチュア棋士としても、2011年に開催された第1期女流王座戦のアマチュア西日本予選に出場しました。決勝では当時中学1年生で、前年の小学生将棋名人戦3位だった中七海氏と対局しましたが、惜しくも敗れ、一次予選進出はなりませんでした。自身の公式サイトでは、この大会に参加できた喜びや、中七海氏と対局できたことへの感激を記しています。また、東京都深川にボードゲームカフェ「どうぶつしょうぎcafe いっぷく」を開業し、2016年から2021年まで運営していました。

連珠選手として

新たな挑戦として、連珠（競技五目ならべ）の世界にも足を踏み入れています。2018年にサンクトペテルブルクで開催された連珠世界選手権を現地で観戦したことが、連珠を始めるきっかけとなったようです。連珠では四段の腕前を持ち、2020年には連珠名人戦の東日本地区予選を突破。女性として初めてA級リーグに進出するという快挙を成し遂げました。A級リーグでは3勝5敗1分の成績で6位となりました。2019年には、ペア連珠大会「第12期小林高一杯」に将棋棋士の牧野光則氏とペアで出場し、同じ髪型で登場して話題を集めました。2022年には連珠六段に昇段するなど、実力を高めています。そして2023年8月には、トルコ・イスタンブールで開催された連珠世界選手権に女子日本代表として参加。スイス式トーナメント方式で行われた女子部門で、見事3位という素晴らしい成績を収めました。

人物

愛称は旧姓に由来する「ひえちゃん」「ぴえ」「ぴえこ」などがあります。女流棋士時代から様々なデザインに携わっており、その独特なデザインや色使いは「ピエコデザイン」として親しまれていました。

もう一度検索