藤立啓一

藤立啓一：医師と馬主の二足の草鞋を履いた波瀾万丈の人生

藤立啓一氏（1938年12月29日 - 2002年6月17日）は、大阪を拠点に活躍した医師であり、同時に熱心な馬主としても知られていました。その多忙な日々は、医学界と競馬界、両方の世界で大きな足跡を残しました。

医師としてのキャリア：地域医療への貢献

大阪市浪速区の魚問屋に生まれた藤立氏は、京都工芸繊維大学在学中に家業を支援していました。しかし、父親の強い希望により大阪医科大学に編入。医師の道を歩み始めます。大学卒業後は勤務医を経て、1969年に自身の診療所を開設。その後、1976年には「藤立病院」を設立し、1980年には医療法人「藤仁会藤立病院」へと発展させました。

病院経営に携わる傍ら、藤立氏は日本ボクシングコミッション（JBC）のコミッションドクターとしての役割も担っていました。関西地方で開催される世界戦など重要な試合で、選手たちの健康管理に尽力しました。

1995年、阪神・淡路大震災発生時には、兵庫県立御影高校の避難所で被災者の診察にあたりました。医師としての使命感を胸に、困難な状況下でも人々の健康を守ろうとする姿は、多くの人々に深い感銘を与えました。

2002年6月17日、悪性リンパ腫のため63歳でこの世を去りました。地域医療に貢献した医師として、そして数々の名馬を所有した馬主として、その功績は長く記憶されることでしょう。

馬主としての情熱：トウジン、シクレノン冠名と名馬たち

35歳の時に中央競馬の馬主資格を取得した藤立氏は、桃と茶色の襷を配した勝負服で知られていました。冠名には、自身の病院名「藤仁会」に由来する「トウジン」と、布施明の楽曲「シクラメンのかほり」とジョン・レノンを組み合わせた「シクレノン」を使用しました。

藤立氏が所有した競走馬は数多く、その中には数々の重賞競走を制覇した名馬も含まれています。

主な所有馬：

グレード制重賞優勝馬:
ミスターシクレノン（鳴尾記念、ダイヤモンドステークス優勝）
シクレノンシェリフ（毎日杯優勝）
ムッシュシェクル（アルゼンチン共和国杯、日経新春杯、阪神大賞典優勝）
その他の所有馬:
ダブルイーグル（マーガレットステークス優勝）
ミスタートウジン（武蔵野ステークス優勝、中央競馬最高齢出走記録保持）
プリンセストウジン（カーネーションカップ優勝）
* トウジントルネード（神戸新聞杯3着）

これらの馬たちは、藤立氏の情熱と努力の証であり、競馬界にその名を刻みました。ミスタートウジンに関しては、山本徹美氏による「頑張るお父さんの星 - ミスタートウジンが駆け抜けた日々」という文章にもその活躍が記されています。

藤立啓一氏は、医師としての献身的な医療活動と、馬主としての情熱的な競馬への取り組みを通して、多くの人々に記憶される生涯を送りました。彼の功績は、医療と競馬、両方の世界に大きな影響を与え続け、後世へと受け継がれていくでしょう。

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