虞昺

虞昺（ぐ へい、生没年不詳）は、中国三国時代の呉、そして西晋に仕えた政治家で、字は世文と称しました。揚州会稽郡余姚県の出身で、父は虞翻、兄弟には虞汜、虞忠、虞聳らがいます。彼は虞翻の11人の子のうち、8番目に当たります。

若き頃から、虞昺は俗事に囚われない大きな器量を持っていました。呉に仕官し、黄門郎となりました。主君である孫晧からの質問に的確に答えることで、その優れた才能が認められ、異例の速さで昇進し、尚書侍郎に任じられました。

太康の役において、晋軍が侵攻してきた際、虞昺は持節を授けられ、武昌より上流の軍の総指揮を任されました。しかし、呉軍が総崩れとなると、虞昺は節と蓋と印綬を呉の朝廷に返還し、晋に降伏しました。

呉の滅亡後、虞昺は済陰太守に任命され、権力者の横暴を抑え、弱者を保護しました。その結果、彼の名声は広く知れ渡りました。兄の虞聳よりも先に亡くなったと伝えられています。

虞昺は政治家としての手腕だけでなく、天文学にも深い知識を持っていました。彼の著書である『窮天論』では、「空の形をしたドームは笠のようであり、地表は浮いている空気の上にある」と述べ、当時としては画期的な大気の状態に関する科学的な考察を示しました。この記述は、他の説よりも科学的であると評価されています。

以下は虞昺の家系図です。


虞翻
├── 虞汜
├── 虞忠
├── 虞聳
└── 虞昺


参考文献

* 陳寿、裴松之注『正史 三国志』、井波律子・今鷹真・小南一郎 訳・解説（ちくま学芸文庫全8巻、1992 - 93年）、※呉書は6・7・8巻、小南一郎訳。

脚注

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