虞忠

虞忠（ぐ ちゅう）は、中国三国時代の呉の武将。字は世方（せほう）。揚州会稽郡余姚県（現在の浙江省寧波市余姚市）の出身で、父は虞翻（ぐほん）、兄弟には虞汜（ぐし）・虞聳（ぐしょう）・虞昺（ぐへい）らがいる。孫権（そんけん）の族孫娘を妻とし、子に虞潭（ぐたん）がいる。

生涯において、虞忠は節操を重んじ、実行力に優れていたと伝えられる。また、陸機（りくき）・魏遷（ぎせん）・王岐（おうき）といった有能な人材を見出すなど、人物を見抜く卓越した才能を持っていたとされる。

呉の末期には、親友であった王岐の後任として宜都太守（ぎとたいしゅ）に任命された。

天紀4年（280年）、晋（しん）が呉に侵攻を開始すると、虞忠は陸晏（りくあん）・陸景（りくけい）らと共に宜都城に籠城し、晋軍の侵攻を食い止めようと奮戦した。しかし、晋の将軍である王濬（おうしゅん）は、まず西陵城（せいりょうじょう）を陥落させ、鎮南将軍（ちんなんしょうぐん）の留憲（りゅうけん）や征南将軍（せいなんしょうぐん）の成璩（せいきょ）らを捕虜とした後、宜都城へと兵を進めた。虞忠らは晋軍に対し激しく抵抗したが、衆寡敵せず、ついに宜都城は陥落。虞忠は陸晏や陸景と共に討ち死にした。一説には、自害したとも伝えられている。

虞忠の家系については詳細な記録は残されていないが、父の虞翻は呉において重きをなした人物であり、その血筋を受け継いだ虞忠もまた、呉のために忠義を尽くした武将であったと言える。

参考文献：
* 陳寿、裴松之注『正史 三国志』、井波律子・今鷹真・小南一郎 訳・解説（ちくま学芸文庫全8巻、1992 - 93年）、※呉書は6・7・8巻、小南一郎訳。

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