蛇酒

蛇酒（へびざけ）

蛇酒は、蛇を米を原料とする酒などのアルコール飲料に漬け込んで作られる伝統的な飲み物です。その歴史は古く、中国の西周時代（紀元前1046年～771年）にはすでに存在していました。中国医学では、蛇酒は滋養強壮の効果があるとされ、珍重されてきました。この文化は中国だけでなく、ベトナムや東南アジア全域で見られます。

蛇酒の種類

蛇酒には、大きく分けて2つのタイプがあります。

漬け込み型: 毒蛇をガラス瓶などの容器に入れ、ライスワインに漬け込んだもの。漢方薬と一緒に漬け込むこともあります。数ヶ月寝かせることで、蛇のエキスや毒が酒に溶け出します。滋養強壮の効果を期待して、少量ずつ飲まれます。
混ぜ込み型: 蛇の血液や胆汁などの体液を酒に混ぜたもの。こちらは漬け込み期間を置かず、すぐに飲用されます。蛇の腹を切り裂き、そこから直接グラスに血液を注いで作る方法や、胆嚢に切れ目を入れて胆汁を抽出する方法があります。

台湾の台北市にある華西街夜市は、蛇料理と蛇酒で有名な場所です。

歴史

中国医学では、古くから蛇や蛇の組織には滋養強壮の効果があるとされてきました。記録に残る最も古い例としては、中国の西周時代（紀元前771年）に蛇酒が飲用されていたことが確認されています。紀元前300年から紀元200年頃にまとめられた医学書『神農本草経』にも、蛇の薬効に関する記述があります。明代の李時珍が編纂した医学書『本草綱目』には、蛇の種類ごとの用途、蛇の器官、調合、製剤の方法などが詳細に記されています。

蛇酒は、ベトナム、東南アジア、中国南部など、広い地域で見られます。

蛇酒の薬効

蛇に薬効があるという考え方は広く信じられており、蛇酒は万能薬として宣伝されることもあります。視力改善、発毛促進、精力増強など、様々な効果が謳われています。ベトナムでも、蛇酒（ルオウ・ラン）は健康と精力の増強に効果があると信じられています。ただし、ベトナムではヤモリやタツノオトシゴなどを用いた同様の飲料も一般的です。

注意点

蛇酒に使用されるコブラやその他のヘビは、絶滅危惧種に指定されていることが多いため、多くの国で蛇酒の輸入は違法となっています。購入や所持には注意が必要です。

参考文献

(参考文献の情報は、提供されたテキストに含まれていません)

関連項目

エリクサー
伝統医学
ハブ酒
万能薬
スネーク・オイル
蛇スープ
陶陶酒

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