血栓溶解療法とは？意味をやさしく解説

血栓溶解療法（thrombolysisまたはfibrinolytic therapy）は、血管内に形成された血栓を薬剤で分解する治療法です。この治療法は、心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓塞栓症など、さまざまな重篤な状態において特に重要です。

血栓溶解療法は、主に次のような症例に対して用いられます。

- ST上昇型心筋梗塞：この状態では、血栓が心臓の動脈を閉塞させるため、早急な治療が必要です。大規模な研究により、血栓溶解療法を行うことで死亡率が低下することが示されています。治療に際しては、組織プラスミノーゲン活性化因子（tPA）のアナログが用いられ、プラスミンの活性化を促進します。
- 脳梗塞：脳卒中の発症からできるだけ早く（通常は3時間以内、場合によっては6時間以内）に血栓溶解療法を行うことで、重篤な後遺症や死亡率を減少させることができます。
- 大規模肺塞栓症：この場合、全身的なアプローチよりもカテーテルを用いた局所の血栓溶解療法が効果的です。血栓に直接薬剤を注入することができ、安全性も高まります。
- 重症深部静脈血栓症（DVT）：この状態も血栓溶解療法の適応となり、特に重要です。

血栓溶解療法は主に静脈内投与で行われますが、特定の状況では血管内からの治療が可能です。例えば、脳梗塞の発症から長時間を要した場合は、動脈内への直接投与を行うことがあります。多様な専門医によって治療が実施され、救急医療の場での迅速な対応が求められます。

血栓溶解療法にはリスクも伴います。特に出血の危険性が高い患者には禁忌とされる場合が多く、以下のような状況が絶対的禁忌に該当します。

さらに相対的禁忌としては、妊娠中、抗凝固薬を服用している場合などがあります。医師は患者のリスクを慎重に評価し、治療の利点とリスクを比較考量して行動します。

血栓溶解療法の副作用としては出血性脳卒中のリスクがあり、特にアレルギー反応が生じることも考慮しなければなりません。これにより、アナフィラキシーが発生した場合は、直ちに治療を中止し、必要に応じて他の療法を検討する必要があります。

血栓溶解療法において使用される薬剤は、主にフィブリンをターゲットとするものです。現在の承認薬剤には、ストレプトキナーゼやウロキナーゼ、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子（rtPA）などがあり、血栓を効果的に分解するために用いられます。

血栓溶解療法は、時間との勝負である急性の病態において、合併症リスクを考慮しつつも重要な役割を果たします。さまざまな専門医の連携が求められ、これからの研究と開発によってより効果的な治療法が期待されています。

もう一度検索