血管作動性腸管ペプチド

血管作動性腸管ペプチド（VIP）について

血管作動性腸管ペプチド（VIP）は、28のアミノ酸から構成されるペプチドホルモンであり、人体の消化管、膵臓、脳の視床下部（特に視交叉上核）など、多くの臓器で生成されます。血中における半減期は約2分と非常に短いものです。

VIPの生理作用

VIPは異なる部位でさまざまな生理機能を持ちます。特に消化器系においては、平滑筋を弛緩させる作用があり、具体的には下部食道括約筋、胃、胆嚢の平滑筋を緩めることで消化を助けます。さらに、VIPは膵液や胆汁の分泌を促進しますが、同時に胃酸の分泌を抑制する効果も持っています。腸内では、水分や電解質の分泌を強力に刺激し、腸の血流を増加させるとともに、膵臓からの炭酸水素塩の分泌も促します。このように、VIPは消化の過程における重要な役割を果たすホルモンです。

脳における役割

VIPは脳の視交叉上核（SCN）でも確認されており、SCNは体内時計、すなわち概日リズムの調整に関与しています。VIPはSCN内での神経細胞間のコミュニケーションを支え、明暗サイクルに伴うSCNの機能との連動にも寄与しています。したがって、VIPは哺乳類の生体リズムにおいて重要な役割を担っているのです。

その他の機能

さらに、VIPはプロラクチンの分泌調整に関与しており、一部の筋肉の収縮を促す作用もあります。心臓においては、VIPは冠状動脈を拡張させ、心不全の治療における可能性が示されています。このため、心臓病に対する新しい治療法としての研究が進められています。

病理学的側面

一方、病理学的には、悪性非β膵島細胞腫瘍の患者においてVIPが過剰に生成されることが知られており、この点においてもVIPの役割が注目されています。

VIPの多様な機能とその生理的意義は、私たちの健康において非常に重要であり、今後の研究によってさらなる知見が期待されています。

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