衛星基幹放送局

衛星基幹放送局とは

衛星基幹放送局は、電波法に基づき、衛星を利用した基幹放送を行う無線局の一種です。具体的には、放送法で定義される衛星基幹放送を行うための基幹放送局を指します。この無線局は、従前の放送衛星局に相当し、主に東経110度CS放送のような衛星放送サービスを提供する事業者に免許されています。

定義

総務省の電波法施行規則において、衛星基幹放送局は「衛星基幹放送を行う基幹放送局」と定義されています。ただし、衛星基幹放送試験局は除外されます。

開設の基準

衛星基幹放送局を開設するためには、電波法および関連する総務省令で定められた基準を満たす必要があります。主な基準は以下の通りです。

申請者が事業計画を確実に実施できる能力を持っていること。
申請者が設立中の法人である場合、その法人の設立が確実であると認められること。

これらの基準は、放送事業の安定性と信頼性を確保するために設けられています。

免許

衛星基幹放送局の免許には、種別コード「EV」が付与されます。免許の有効期間は原則として5年ですが、初回に限り有効期限は一定の10月31日となります。また、臨時的な放送を行う場合は、その目的に必要な期間が免許期間となります。

無線局免許状は、原則として無線局に備え付ける必要がありますが、人工衛星に搭載される場合は、無線従事者の常駐する場所に備え付ければよいとされています。

旧技術基準の機器

無線設備の技術基準改正により、旧技術基準に基づく機器の免許は2017年11月30日まで、使用は2022年11月30日までとされました。しかし、宇宙局の無線設備は再免許が可能であり、衛星基幹放送局も設置を続ける限り再免許が可能です。

対象となる機器は、2005年11月30日までに製造された機器、または経過措置として2007年11月30日までに製造された機器です。新規免許は2017年12月1日以降はできませんが、使用期限はコロナ禍により一時的に延期されています。詳細については、無線局に関する情報を参照してください。

運用

衛星基幹放送局の運用開始には、電波法に基づき届出が必要です。また、運用に関しては、地上基幹放送局に関する規則が適用されます。これにより、衛星基幹放送局は地上基幹放送局と同様の運用ルールに従うことになります。

操作

原則として、衛星基幹放送局の操作には第二級陸上無線技術士以上の資格を持つ無線従事者が必要です。特に、空中線電力が2kWを超えるテレビジョン基幹放送局では、第一級陸上無線技術士による管理が求められます。ただし、一部の簡易な操作（音声・映像混合器の操作など）は、無線従事者の資格がなくても行うことができます。

検査

衛星基幹放送局には、落成検査、定期検査、変更検査が義務付けられています。落成検査と変更検査は、登録検査等事業者による点検結果に基づき一部省略できます。定期検査は年に1回実施する必要があり、こちらも同様に点検結果に基づき一部省略が可能です。

沿革

衛星基幹放送局の制度は、時代とともに変化してきました。

1980年：放送衛星局として定義され、免許の有効期間は3年、運用開始の届出が必要でした。
1983年：音声・映像混合器の操作に無線従事者が不要になりました。
1988年：免許の有効期間が5年に延長されました。
1990年：無線従事者が不要な操作に関する規定が告示に規定されました。
1993年：電波利用料制度が導入されました。
2000年：運用開始の届出が不要になりました。
* 2011年：放送衛星局が衛星基幹放送局に改称され、定義が変更されました。同時に運用開始の届出が必要になりました。

電波利用料

衛星基幹放送局には、電波法に基づき電波利用料が課せられます。料金は、人工衛星の無線局に適用される料金体系に基づき計算されます。

まとめ

衛星基幹放送局は、衛星放送サービスを支える重要な無線局です。免許取得、運用、検査には電波法や関連法令に基づく様々な規定があり、放送事業者はこれらを遵守する必要があります。技術の進歩や社会情勢の変化に伴い、制度も改正されてきており、今後も変化していくことが予想されます。

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