衛青

衛青（えいせい）

衛青（紀元前?年 - 紀元前106年）は、前漢の武帝に仕えた名将で、字は仲卿、爵位は長平侯でした。河東郡平陽県（現在の山西省臨汾市）の出身で、匈奴征伐で目覚ましい功績を挙げ、武帝の時代を代表する武将の一人として知られています。

生涯

苦難の幼少期

衛青の母は衛媼という名の婢女であり、彼は幼少の頃から匈奴と接する北方で羊の放牧に従事していました。奴隷のように扱われ、実の父親とされる鄭季から虐待を受けることもあったといいます。しかし、甘泉宮を訪れた際、将来の出世を予言されるという逸話も残っています。

武将への道

身分の低い衛青でしたが、姉の衛子夫が武帝の寵愛を受けたことや、彼自身が騎射に長けていたことから、武帝に引き立てられることになります。陳皇后一族による拉致監禁事件も経験しますが、友人の公孫敖の尽力により救出されました。

匈奴との戦い

匈奴征伐では車騎将軍に任命され、匈奴の事情に通じていたことが彼の大きな強みとなりました。十数回にわたる出陣で連戦連勝し、数万の匈奴兵を討ち取るという目覚ましい戦果を挙げます。これにより、現在の内モンゴル自治区の一部にあたる匈奴の領土を奪い取ることに成功しました。

大司馬大将軍へ

これらの軍功が認められ、衛青は大司馬大将軍という высший 軍事 مقام にまで昇りつめます。しかし、彼は政治には深入りせず、武帝陵墓の建設に関する助言を行う程度でした。

平陽公主との結婚

大将軍となった後、衛青は武帝の姉である平陽公主を妻に迎えます。平陽公主はかつて衛青を使用人として扱っており、また曹時との離婚歴がありました。

霍去病の台頭と晩年

甥の霍去病が台頭すると、人気と軍功の両面で衛青は彼に譲ることになります。しかし、霍去病が24歳という若さで亡くなったため、その後も軍の第一人者として活躍しました。

人柄

衛青は、自身の苦労した経験から、将軍になっても威張ることなく、常に武帝の意向を尊重し、兵卒にも分け隔てなく接しました。かつて自殺に追い込んでしまった李広の息子である李敢に切りつけられても、黙って耐え忍んだというエピソードも残っています。しかし、世間での人気は、苦労人の衛青よりも、若くして華々しい活躍を見せた霍去病の方が高かったようです。

墓

衛青の墓は、霍去病の墓の隣、武帝の陵墓である茂陵の近くに位置しています。子である衛伉は、巫蠱の禍に連座して処刑されました。

参考文献

司馬遷『史記』巻111 衛将軍驃騎列伝
班固『漢書』巻55 衛青霍去病伝

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