袁耽

袁耽（えん たん）

袁耽（生没年不詳）は、東晋に仕えた官僚で、字を彦道と名乗りました。陳郡陽夏県を本貫とする袁耽は、博打の名人としても名を馳せ、「袁彦道（えんげんどう）」という異名で知られていました。

生涯

袁耽は、袁沖（袁準の子）の子として生まれました。若くして才能に溢れ、強い信念と独立心を持っていたため、当時の人々から高く評価されていました。特に博打においては非常に有名で、若い頃の桓温が博打で財産を失った際、袁耽が債権者の賭場に乗り込み、たちまち財産を取り返したという逸話が残っています。

蘇峻の乱での活躍

蘇峻の乱が発生すると、袁耽は王導に召し出され、参軍として王導に従い石頭城に入りました。当時、路永・匡術・賈寧らは蘇峻の腹心であり、朝廷の大臣たちを処刑するよう蘇峻に進言していましたが、蘇峻はこれを聞き入れませんでした。路永らは蘇峻の敗北を予見し、密かに王導と連絡を取ろうと画策しました。王導は袁耽を派遣し、路永らを帰順させることに成功しました。蘇峻の乱が平定されると、袁耽はその功績により秭帰県男に封じられ、建威将軍・歴陽郡太守に任じられました。

後趙の侵入と失脚

咸康元年（335年）、後趙の石虎が十数人の騎兵を率いて歴陽に侵入しました。袁耽はこの事態を建康の朝廷に報告しましたが、騎兵の数が少ないことを伝えませんでした。建康では後趙の強盛を恐れており、朝野は騒然となり、宰相の王導が自ら討伐に向かおうとしました。しかし、侵入した後趙の騎兵が少数であり、すでに退散したという情報が入り、王導は出兵を取りやめました。朝廷は袁耽の報告が軽率であったとして、袁耽を降格処分としました。その後、袁耽は王導の下で従事中郎となり、重要な任務を任される予定でしたが、25歳という若さで亡くなりました。

家族

袁耽には袁質という息子がおり、字を道和といいました。袁質は孝行息子として知られ、琅邪国内史や東陽郡太守を歴任しました。

伝記資料

袁耽の伝記は、『晋書』巻83 列伝第53に収録されています。

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