裴政

裴政の生涯

裴政（はい せい、生没年不詳）は、南朝梁から隋にかけて活躍した軍人および法律家であり、河東郡聞喜県を本貫としています。字は徳表で、彼の生涯は数々の歴史的事件に深く関与していました。

経歴の始まり

裴政は梁の廷尉卿である裴之礼の子として誕生しました。彼は若干15歳の時に邵陵王府で法曹参軍事として召集され、その後も著しい出世を果たしました。起部郎および枝江県令に転任後、湘東王蕭繹が荊州に進撃すると、裴政は宣恵府記室として召され、通直散騎侍郎に任命されました。

戦乱の中での功績

侯景の乱では、壮武将軍の位を加えられ、王琳の下で戦い、叛将の宋子仙を捕えるなどの手柄を挙げました。これにより裴政は夷陵侯に封じられ、給事黄門侍郎に昇進しました。さらに王琳を補佐して武陵王蕭紀の東下を防ぎ、シリアスな戦局において彼の軍を撃破するなどしました。

捕虜と尽忠

しかし、状況は変わり、西魏軍が荊州を包囲すると、裴政は捕虜となり、蕭詧の前に引き出されました。蕭詧は彼に対して自らの策略に従うよう迫り、拒否すれば死をもって報いると脅しました。裴政は冷静に対処し、援軍が来ることを告げました。この言葉により彼は処刑を免れますが、彼の忠誠心は歴史に刻まれることとなりました。

西魏政権での功績

江陵が陥落すると、裴政は長安に送られ、新たに西魏の宇文泰の元で仕官しました。彼は法律に通じ、周礼に基づく制度を確立、法律の改正にも力を注ぎました。彼の法律執行の方針は寛容で公平であり、死刑を含む厳罰に対しても被告の家族との面会を許すなどの配慮を行いました。彼の存在は、法律の執行に新たな風をもたらしました。

隋朝の成立と晩年

隋が建国されると、裴政は再び官職に復帰し、率更令に就任しました。彼は法律の改正に尽力し、散騎常侍および左庶子に昇進しましたが、皇太子楊勇の側近との対立が生じ、最終的には襄州総管に出向させられました。その地で在官のまま亡くなり、享年は89歳とされています。

楊堅とのエピソード

興味深いことに、楊堅が北周の政権を掌握した際、裴政の忠誠を称賛し、その存在があれば楊勇の廃位を防げたとも言われています。裴政の子裴南金も、高い地位である膳部郎に昇進しました。

彼の業績は数多くの文献に記録され、特に『隋書』や『北史』にその詳細が残されています。彼の人生は、戦乱の最中にあっても一貫して忠義を尽くした姿勢と、法律に基づく公正な行政の重要性を教えてくれます。

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