裴邃

裴邃の生涯と業績

裴邃（はい すい、出生年不詳 - 525年）は、南朝斉から梁にかけて活躍した著名な軍人・官僚であり、字は淵明、本貫は河東郡聞喜県にあります。彼は豊かな文才を持ち、『春秋左氏伝』を好むなど、若いころからその才能を発揮していました。父は裴仲穆であり、文才に恵まれた家庭に育ちました。

軍人としての初期の経歴

裴邃は斉の建武初年に蕭遙昌により府主簿に任命され、その優れた文章力によって認められました。彼はその後、始安王蕭遙光の下で参軍として勤務し、多くの戦場で戦う機会を得ました。しかし彼の運命は、蕭遙光が反乱を起こした際に変わり、敗死した後は寿陽に帰還しました。その後、彼は北魏に仕官し、司徒属、中書郎、魏郡太守などを歴任しました。

北魏からの帰還

天監初年、裴邃は北魏から脱出し、梁に帰順します。彼は輔国将軍・廬江郡太守に任じられ、北魏の軍勢が廬江郡を侵攻してきた際、見事にこれを撃退し、その功績から右軍将軍に昇進しました。

鍾離の戦いとその後の戦功

天監5年（506年）には鍾離で北魏軍との激しい戦闘が繰り広げられました。裴邃は韋叡の命を受けて、秘密裏に艦を建造し、北魏軍が築いた橋を焼き払い、見事な連携で敵軍を撃退します。その後、羊石城や霍丘城を攻略し、多くの城主を討伐しました。これにより、彼は夷陵県子に封じられ、冠軍長史・広陵郡太守という地位を得ました。

軍事的成功と政治的困難

裴邃はその後も数々の軍事的成果を上げましたが、彼の信望は次第に揺らいでいきます。彼の妻の甥が彼の不臣の疑いを武帝に伝えたため、裴邃は始安郡太守に左遷されることとなります。しかし、彼はこの逆境からも立ち直り、再び軍功を上げました。北魏軍との対決では自己の軍を指揮し、戦場での成功を収めます。

最後の日々

普通4年（523年）以降も戦いを続け、彼は北魏に対して数々の勝利を収め、その名声を確立しました。普通6年（525年）には新蔡郡を攻略した後、北魏の寿陽城の守将に対し巧妙な戦略を用いて大勝し、その後程なくして彼は軍中でこの世を去りました。彼の死後、侍中・左衛将軍の位を追贈され、その功績が称えられました。彼の死はその時の軍政や政局に大きな影響を与えたことでしょう。

結論

裴邃の子の裴之礼は彼の業績を受け継いでいきました。裴邃の生涯には、文才と軍事的才能の両面が光り、当時の政治や武道に大きな影響を及ぼしたことは間違いありません。彼の物語は、南朝の歴史の中でも特に印象深いものとして語り継がれています。

もう一度検索