裴開

裴開（はい かい）

裴開（生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物です。字は士先といい、名門として知られる河東裴氏の支族、東眷裴氏の出身でした。父は西晋の玄菟郡太守を務めた裴武です。

生涯

313年、父である裴武が亡くなると、裴開は叔父の裴嶷とともに喪に服すため故郷へ向かいました。その途中、鮮卑慕容部の大人である慕容廆の領地を通った際、慕容廆は彼らを礼遇し、手厚い贈り物とともに送り出しました。

裴開らは遼西までたどり着きましたが、道が途絶えており、それ以上進むことができませんでした。叔父の裴嶷は、裴開とともに慕容廆に仕えることを考えました。しかし、裴開は「故郷は南にあるのに、なぜ北へ向かうのか。異郷で仕えるならば、段氏の方が勢力が強いのに、なぜ慕容氏に仕えようとするのか」と疑問を呈しました。

裴嶷は、当時の中原は混乱の極みにあり帰還は危険であること、段氏は士大夫を礼遇しないこと、慕容氏は仁義を重んじ民を安んじていることを理由に挙げ、慕容氏に仕えることこそ功名を立て、宗族を守る道だと説きました。これを聞いた裴開は、裴嶷の考えに従い、慕容廆に仕えるため北へ戻ることを決意しました。この決断を知った慕容廆は大いに喜びました。

313年4月、慕容廆は集まった人材をそれぞれの才能に応じて役職に任命し、裴開は游邃・逄羨・西方虔・宋奭・封抽らとともに重臣として重用されることとなりました。

321年12月、慕容廆は車騎将軍・都督幽平二州東夷諸軍事・平州牧に任じられ、遼東公に封じられました。これに伴い官僚組織が編成されると、裴開は司馬に任じられました。その後、長史に昇進しています。

333年6月には、軍諮祭酒に任じられました。

337年9月、慕容皝が文武諸官を編成した際、裴開は奉常に任じられました。

その後、太常卿、祭酒といった役職を歴任しましたが、これ以降の事績は史書には記されていません。

人物・逸話

裴開は、才知と計略に長けており、その考えは深遠で容易には推し量ることができませんでした。彼はしばしば奇策を献じ、慕容廆は彼の策を多く採用したと伝えられています。

家系

父：裴武（字は文応）
叔父：裴嶷
弟：裴湛
子：裴原、裴成、裴範（字は仁則）

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