西久保豊一郎

西久保豊一郎

西久保豊一郎（1870年1月7日 - 1905年7月12日）は、日本の陸軍軍人です。陸軍歩兵少佐の階級にあり、日清戦争と日露戦争で勇猛果敢に戦い、その生涯を終えました。

生い立ち

西久保豊一郎は、1870年（明治2年）に、三重県警部長であった西久保紀林の息子として、肥前国佐賀郡鍋島村八戸（現在の佐賀県佐賀市）に生まれました。兄には、後に政治家として活躍する西久保弘道がいます。

幼少期は、父親の転勤に伴い、東京、佐賀、三重と各地を転々としました。小学校から中学校時代にかけては、学業優秀で、通算8回もの優等賞を受けています。1886年（明治19年）には、三重県津中学校（現在の三重県立津高等学校）を卒業しました。

士官学校時代

1886年（明治19年）8月、陸軍士官学校幼年生徒として入校し、翌年には学科優等の成績を収め、被服食料を支給されることになりました。さらに1888年（明治21年）には舎長を命じられるなど、その優秀さが際立っていました。1889年（明治22年）に陸軍幼年学校を卒業、士官候補生として歩兵第1連隊に入営。1890年（明治23年）には士官学校を卒業し、見習士官となりました。同期には、台湾軍司令官の菅野尚一大将、朝鮮軍司令官の森岡守成大将、陸軍技術本部長の鈴木孝雄大将らがいます。

日清戦争での活躍

1892年（明治25年）に陸軍歩兵少尉に任官し、歩兵第1連隊に配属されました。1894年（明治27年）の日清戦争では、第2軍隷下として出征。石拉子高地、金州城、旅順、饅頭山などの激戦地で戦い、数々の戦功を挙げました。1895年（明治28年）には歩兵中尉に昇進、勲六等単光旭日章を受章しました。

台湾、東京、大村での勤務

日清戦争後、1896年（明治29年）に台湾守備歩兵第1連隊に配属され、花蓮港の守備にあたりました。その後、東京の歩兵第1連隊に戻り、軍法会議判士を務めました。1897年（明治30年）には大村の歩兵第46連隊に配属され、中隊長に就任。1901年（明治34年）には陸軍戸山学校で射撃を学びました。この間、1899年（明治32年）に結婚し、翌年には長男が生まれています。

二度の戦傷

1904年（明治37年）に日露戦争が勃発すると、連隊副官として出征。鴨緑江を渡り、遼陽付近での戦闘に参加。細川沿橋頭の戦闘で榴霰弾の破片により負傷し、一時帰国しました。その後、少佐に進級し、後備歩兵第29連隊大隊長として再び戦地へ。歪頭山での戦闘で頭部に重傷を負い、再び内地へ後送されました。

樺太攻略と最期

1905年（明治38年）に退院後、歩兵第50連隊第1大隊長として樺太へ出征。コルサコフ、フリゲネーを攻略し、ダリネエー付近での戦闘において、敵の機関銃弾が喉を貫通し戦死しました。その功績により、正六位勲四等旭日小綬章、功四級金鵄勲章を授与され、年金500円が下賜されました。彼の戦死した場所の近くには、彼の功績を称え西久保神社が建立されたほか、彼が占領したダリネエーは西久保村と名付けられました。

軍歴

1892年（明治25年）3月21日：陸軍歩兵少尉任官
1892年（明治25年）11月14日：陸軍歩兵中尉任官
1895年（明治28年）6月25日：第一師管軍法会議判士
1897年（明治30年）12月6日：陸軍歩兵大尉任官、歩兵第46連隊中隊長
1904年（明治37年）9月12日：陸軍歩兵少佐任官、後備歩兵第29連隊大隊長
1905年（明治38年）4月2日：歩兵第50連隊第1大隊長
1905年（明治38年）7月12日：戦死

親族

父：西久保紀林（三重県郡長・警部長）
兄：西久保弘道（政治家）
長男：西久保豊成（陸軍歩兵少尉、内務官僚）

参考文献

* 「樺太領有之先駆者 西久保少佐」上田光曦著、樺太教育会（昭和7年）

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