西宝町

西宝町（さいほうちょう）は、香川県高松市の中核部に位置する町丁です。郵便番号は760-0004を持ち、一丁目から三丁目までが存在します。二丁目および三丁目の石清尾山（いわせおやま）にかかる一部など、山地にあたる区域を除き、多くの地域で住居表示に関する法律に基づいた住居表示が実施されています。

地理

高松市役所から約1.9km西、市中心部の外縁にあたる場所に位置しています。その境界は比較的明確で、南は石清尾山、西は摺鉢谷川（すりばちだにがわ）とJR高徳線、北はJR予讃線および同線の車両基地である高松運転所、そして西を香東川（こうとうがわ）によって区切られています。

地理的には標高232.43mの石清尾山山頂部と、その麓に広がる平野部とに大きく分けられます。山頂部は豊かな緑に覆われ、数軒の民家があるほか、市営峰山公園（みねやまこうえん）などが整備された閑静なエリアです。一方、山麓の平野部は、香川県道33号高松善通寺線（旧国道11号、丸亀街道）や市道五番町西宝線といった主要幹線道路が通り、高松市都心部と地理的に近い「都心の外縁部」にあたります。この平野部には、マンションやアパートをはじめとした住宅が密集しており、都市的な様相を呈しています。

統計

2010年の国勢調査によると、当時の西宝町の人口は3146人（男性1614人、女性1532人）で、世帯数は1753世帯でした。総面積は約90万8631平方メートル（約0.9平方キロメートル）で、これに基づく人口密度は約3462.4人/平方キロメートルとなります。

行政情報

公立学校の校区としては、町内の全域が亀阜（かめおか）小学校および紫雲（しうん）中学校の区域に指定されています。

都市計画法に基づく用途地域は、地域によって定められています。香川県道33号線、市道五番町西宝線、市道兵庫町西通町線沿い、および香東川沿いの区域は、容積率300%、建ぺい率80%の「近隣商業地域」に指定されています。それ以外の平野部の大部分は、容積率200%、建ぺい率60%の「第一種中高層住居専用地域」です。また、石清尾山の山地部分は、容積率80%、建ぺい率50%の「用途白地地域（特定用途制限地域）」のうち、一般・環境保全型（山地部）に区分されています。

河川

町内を流れる河川として、摺鉢谷川があります。

歴史

「西宝町」という町名は、石清尾山がかつて「西方寺山」と呼ばれていたことに由来するとされています。

明治時代に入るまで、この地域は香川郡西浜村の一部でした。高松城下に程近い、田畑の広がる農村でした。特に北東部に位置する摺鉢谷川にかかる「高橋」は、かつての主要道である旧丸亀街道が通る橋であり、ここが高松城下への西からの入り口、すなわち城下町と農村部の境目にあたる場所でした。このため、高橋のたもとには番所が置かれ、人や物の出入りを監視していました。また、ここから西側は市街地が終わる場所であり、閻魔堂（静息庵）や広大な墓地「万日墓地」があったことから、「そうれんじゃ、ぼんぼりじゃ、高橋越えたらゆうれんじゃ」といった俗謡に歌われるほど、幽玄な雰囲気を漂わせる場所でもありました。

歴史を刻む寺院としては、延宝元年（1673年）に創建され、初代高松藩主である松平頼重によって建立された西方寺、そして岩窟に薬師如来が安置され「穴薬師」として庶民の信仰を集めた松岩寺などがあります。また、かつてはこの付近に鉄砲場も設けられていました。

明治時代に入り、1890年（明治23年）2月15日、旧来の西浜村は、隣接する宮脇村（旧）と合併し、新たに発足した行政村である宮脇村（新）の一部となりました。この時、西浜村だった地域は、宮脇村の大字西浜として引き継がれました。

その後、大正時代に入り、1914年（大正3年）5月1日、宮脇村は高松市に編入されました。これは高松市にとって最初の合併でした。この編入により、大字西浜の地域は高松市の町丁となり、「西浜新町」と名付けられました。これは、当時すでに市内に「西浜町」（現在の瀬戸内町や扇町の一部）が存在していたため、混同を避けるために「新町」が付け加えられたものです。

現在の高松市西方寺公園や西宝三丁目の郵政庁舎などが建つあたりは、かつて「万日ヶ原（まんにちがはら）」と呼ばれていました。そこには約8341坪（約2.7ヘクタール）もの広大な敷地に、およそ1万2千基もの墓石が並ぶ「万日墓地」が存在していました。この墓地には、宗派や身分（武士、町人など）を問わず多くの人々が葬られ、漆芸家の玉楮象谷（たまかじぞうこく）のような著名人も眠っていました。しかし、戦後の都市計画の進展に伴い、1955年（昭和30年）頃から順次廃止されることとなり、多くの遺骨は宮脇町の峰山墓地や宮脇墓地などに改葬されました。

そして現代、1966年（昭和41年）に高松市内で住居表示制度が実施された際、西浜新町はその区域を見直され、独立した町丁となりました。さらに、隣接する郷東町や宮脇町の一部を編入し、現在の「西宝町一丁目」から「西宝町三丁目」が誕生しました。これにより、この地域は歴史的な背景を引き継ぎつつ、新たな町として再出発しました。

現在

現在、西宝町は石清尾山の自然豊かな山地部と、幹線道路沿いの利便性の高い住宅密集地という二つの顔を持つ町となっています。都心に近いながらも、歴史的な由来や自然環境も併せ持っており、多様な要素が共存する地域です。

もう一度検索