西岡の戦い

西岡の戦い：応仁の乱における乙訓郡の攻防

西岡の戦いは、応仁の乱の最中、文明元年（1469年）4月22日に山城国乙訓郡（現在の京都府乙訓郡）で勃発した東軍と西軍の戦いです。

戦いの背景：乙訓郡と両軍の関係

乙訓郡は、山城国の西部に位置し、丹波国や摂津国と隣接する地域でした。この地の国人たちは、二つの国の守護を兼ねる細川氏と深い繋がりを持ち、応仁の乱では細川勝元率いる東軍に味方しました。国人衆の中でも、野田泰忠らは西岡を中心に、乙訓郡において上洛を目指す西軍勢力と戦っていました。

しかし、戦火が京都から周辺地域へと拡大するにつれて、西岡も戦略的な要地として注目されるようになり、応仁2年（1468年）頃から東西両軍が入り乱れての激しい合戦が繰り返されるようになりました。

文明元年の戦況：西軍の乙訓郡制圧

文明元年4月19日、谷の堂（京都市）を拠点とする西岡の国人衆は、鶏冠井城（向日市）に籠城する西軍を奇襲しましたが、わずか3日後の22日、畠山義就が反撃に出撃し、谷の堂は陥落。西岡国人衆は丹波国へと撤退を余儀なくされました。この結果、西岡を含む乙訓郡は西軍によって制圧され、義就は勝竜寺城を拠点として乙訓郡および山城国の支配を強化していきました。

さらに6月16日には、大内政弘も摂津国方面へ進出し、東軍の拠点を次々と攻略。これにより、山城国周辺は西軍が優勢な状況となりました。

西岡を巡るその後の攻防

西岡を失った野田泰忠らは、奪還を目指して山名是豊を山崎に迎え入れ、勝竜寺城の義就との間で交戦を続けました。しかし、文明2年（1470年）12月に是豊が領国の備後国へ帰国すると、大規模な合戦は減少し、小競り合いが続く状況となりました。結局、乙訓郡は終戦まで義就の占領下に置かれることとなりました。

また、大内軍も文明2年7月には南山城へ侵攻し、山城国と大和国の境界付近に位置する木津を巡って両軍が激しい攻防戦を繰り広げました。

まとめ

西岡の戦いは、応仁の乱における一局面に過ぎませんが、乙訓郡という地域が東西両軍にとって重要な戦略拠点であったことを示しています。この戦いを経て西軍が乙訓郡を掌握したことは、その後の山城国における戦局にも少なからず影響を与えたと考えられます。

参考文献
戦国合戦史研究会『戦国合戦大事典 六 京都・兵庫・岡山』P38 - P40、新人物往来社、1989年。
石田晴男『戦争の日本史9 応仁・文明の乱』P235 - P238、P246 - P249、吉川弘文館、2008年。
* 福島克彦『戦争の日本史11 畿内・近国の戦国合戦』P13 - P14、吉川弘文館、2009年。

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