西嶋定生

西嶋定生の生涯と業績

西嶋定生（にしじま さだお、1919年6月25日 - 1998年7月25日）は、日本の中国史学者であり、東京大学の名誉教授として知られています。彼は戦後の中国古代史研究において重要な役割を果たし、同時代の他の学者たちと共に、この分野の発展を先導しました。

生い立ちと学問の道

定生は、1919年に岡山県阿哲郡本郷村で生まれました。彼は第六高等学校を卒業後、東京帝国大学で神学を学びました。この大学では中央アジア史の研究者である山田信夫と共に学び、長い友情を築きました。

東京大学を修了した後、彼は東方文化学院に研究員として勤務しました。1949年には東京大学文学部の東洋史学科で助教授として教壇に立ち、1967年には教授に昇進しました。また、1980年には東京大学を定年退官し、名誉教授の称号を得ました。退職後も新潟大学や就実女子大学で教授を務めましたが、1998年に79歳で他界しました。

研究内容と業績

最初は明・清時代の社会経済史を研究していましたが、次第に古代史に興味を移し、特に中華帝国の冊封体制論や東アジア世界論において独自の視点を展開しました。また、彼は邪馬台国北九州説にも賛同していました。

秦漢帝国論

西嶋は、特に中国史の時代区分に関する議論に積極的に関与しました。この論争では、経済発展段階を古代・中世・近世・近代に分ける区分法が用いられました。彼は歴研派に属し、漢邪国の発展を論じていました。1949年と1950年に発表した論考においては、高祖の配下の集団が家内奴隷的な存在であると主張し、その形態が当時の社会経済にどのように貢献したかを探りました。

西嶋の視点には多くの批判が寄せられましたが、最も重要なものは増淵龍夫からのものでした。増淵は、彼の見解を正当視しつつ、集団の内部に目を向ける必要性を指摘しました。彼は戦国時代以降の社会の動態に注目し、高祖集団の多様性や人間関係の構築の重要性を強調しました。また、当時の農民と豪族の関係に違和感を示し、西嶋の旧説に対する改訂を促しました。その結果、西嶋は新たな論考を発表しました。

新説の展開

新たな論考である個別人身的支配論では、漢の二十等爵制が社会秩序を再編成する手段として機能したと論じました。これにより、民衆一人一人に対する支配が強化されるという見解を示しました。増淵はその着眼点の非凡さを評価しつつも、西嶋の見解が従来の東洋的専制主義と変わらないのではないかと批判しました。

主な著作

西嶋定生の著作には多くの重要な作品があります。彼の論集『西嶋定生 東アジア史論集』は5巻にわたり、彼の研究の広がりを示しています。また、共著や編著の作品も多く、時代を超えた文化の理解を深めるために貢献しています。彼の研究は東アジア史の分野で今も高く評価され続けています。

彼は歴史的な視点から中国を見つめ、当時の社会と制度の関係を解明しようと努めました。その学問の広がりは、多くの後進の研究者にも影響を与えています。彼の業績は、学問の発展を促進し、学界における重要な一ページを刻みました。

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