増淵龍夫

増淵 龍夫の生涯と業績

増淵龍夫（ますぶち たつお）、1916年3月3日に栃木県那須郡で生まれ、1983年5月12日に逝去した日本の経済学者および東洋史学者です。専門は東洋経済史であり、一橋大学名誉教授として多くの業績を残しました。

経歴

増淵は、栃木県立烏山中学校を卒業後、1940年に旧制東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業しました。在学中には上原専禄や三浦新七から西洋経済史を学びましたが、後に研究の方向性を東洋経済史へと転じました。教育召集により、彼は歩兵1712連隊および歩兵第66連隊に入隊し、第二次世界大戦終戦時には二等兵として召集解除を受けました。

戦後、増淵は1945年から東京産業大学東亜経済研究所で参事を務め、1947年には東京商科大学で副手となります。1949年からは同大学経済研究所の助教授を歴任し、1950年には経済学部の助教授に昇進。1957年には教授に就任し、1960年からは社会学部でも教壇に立つことになりました。そして、1962年には一橋大学から経済学の博士号を取得しました。

1970年には社会学部長を務め、1975年には附属図書館長にも就任。一橋大学からは1979年に定年退官となり名誉教授となった後、1980年から成城大学経済学部で教授職を担い、1981年からは大学院経済学研究科長や図書館建設委員会の委員などとして活躍しました。しかし、1983年に惜しまれつつこの世を去っています。

研究内容・業績

増淵龍夫は日本における歴史研究に社会史の手法を初期段階で取り入れた人物の一人として知られています。彼の代表的な研究には、古代中国の『史記』や『漢書』を分析し、古代中国人の行為規範における任侠精神を見出すことが含まれます。特に、前漢時代の遊侠の行動がすべての人間関係において任侠精神によって成立していると考え、皇帝と官僚の関係もこの精神に基づくものであるとしました。

また、川勝義雄による清流勢力の歴史的意義を批判し、彼自身の独自の見解を展開しました。増淵は後進の育成には熱心ではなかったものの、同僚の留学に伴い中川学を指導し、彼の友人である三谷孝や石原享一など、多くの弟子を育てました。

増淵龍夫の影響

増淵の研究は、経済学や歴史学の分野において重要な位置を占めており、彼の業績は現代の日本の経済史研究にも大きな影響を与えています。また、社会経済史学会の理事を務めたことから、彼の影響力は多くの研究者や学生にも及びました。教育者および研究者としての彼の姿勢は、今日の学問にも引き継がれています。

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