西川作平

西川作平について

西川作平（にしかわ さくへい）は、1842年に近江国愛知郡斧磨村（現在の滋賀県愛荘町）で生まれ、1918年に没した篤農家、林業家です。彼は、地域社会の環境問題に深く関わり、その解決に尽力した人物として知られています。

はげ山からの脱却

江戸時代末期、西川が暮らしていた地域では、薪や木炭の採取を目的とした過剰な伐採により、周辺の山々がはげ山化していました。これにより、降雨のたびに土砂が流出し、慢性的な土砂災害が発生し、人々の生活を脅かしていました。この状況を憂慮した西川は、自ら植林を行うことを決意します。

しかし、当初は植林は思うように進まず、幾度となく失敗を繰り返しました。それでも西川は諦めることなく、様々な樹種を試し、試行錯誤を重ねた結果、ヒメヤシャブシが痩せた土地でも生育することを発見しました。ヒメヤシャブシは、土壌が流亡した土地でも生育しやすく、荒れた土地の緑化に最適な樹種でした。

緑化活動の推進

ヒメヤシャブシを見つけた西川は、自ら植林活動を積極的に進めるとともに、周辺の集落の人々にも苗木を配り、植林を推奨しました。その結果、かつては荒廃していた山々は徐々に緑を取り戻し、土砂災害の被害も軽減されていきました。この功績により、西川は地域の人々から深く尊敬されるようになりました。

日本の緑化技術の礎

西川の活動は、風化が進みやすい花崗岩質の山地が多く、日本三大はげ山県の一つとされていた滋賀県の山々に緑を取り戻すきっかけとなりました。彼の発見したヒメヤシャブシは、その後、明治時代から現代に至るまで、砂防事業や治山事業、様々な工事の法面緑化に広く用いられるようになり、日本の緑化技術の礎を築いた人物として知られています。

後世への継承

西川の業績を称え、雨曽川ダムの上流には彼の功績を讃える石碑が建立されています。また、田上山にある「近代砂防発祥地・砂防先人の碑」にも、西川の名前が刻まれ、その功績が顕彰されています。西川作平の功績は、今日においても語り継がれ、環境問題に対する取り組みの重要性を示唆しています。

関連事項

田上山
防災

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