西村友晴

西村友晴：激戦を生き抜いた海軍軍人、海上自衛隊の要

西村友晴（にしむら ともはる）は、1908年（明治41年）に生まれ、1994年（平成6年）に86歳で生涯を閉じた、日本の海軍軍人、そして海上自衛官です。最終階級は海将。第6代海上幕僚長を務めました。

海軍軍人としての歩み

福岡県出身の西村は、築上中学を経て海軍兵学校に入校。同期生より1期遅れて卒業しました。卒業後は巡洋[[戦艦]]「霧島」などでの勤務を重ね、1938年には海軍特別陸戦隊中隊長として漢口攻略戦に参加。しかし、負傷により戦線を離脱します。

太平洋戦争中は、戦艦「長門」副砲長、第三戦隊参謀などを歴任。1943年には軽巡洋艦「長良」の砲術長に着任しました。しかし、その「長良」はクェゼリン環礁付近で敵機動部隊の攻撃を受け大破。多数の死傷者を出す惨事となりました。

この時、西村は重傷を負った艦長に代わり指揮を執り、大破した駆逐艦「長波」を曳航するという困難な任務を、見事に成功させます。その後、重巡洋艦「愛宕」の砲術長に転任しますが、「愛宕」もレイテ沖海戦で敵潜水艦の雷撃により沈没。西村は海を漂流後、友軍に救助され生還しました。

終戦時は佐世保鎮守府参謀として本土決戦の準備に携わっていたそうです。

海上自衛隊での活躍

戦後、公職追放を経て、1952年に保安庁警備隊に入隊。海上自衛隊発足後は、第2護衛隊司令として掃海艇受領のためフィリピンに派遣されるなど、重要な任務をこなしました。この際、西村の率いるチームは、アメリカ側を驚かせるほどの迅速かつ正確な作業を遂行したそうです。

また、当時は台湾海峡で中国人民解放軍と中華民国国軍が交戦しており、万が一に備え、西村は実弾を準備し警戒態勢を敷きながら航行したと言われています。

その後、海上幕僚監部防衛部長、海上幕僚副長を経て、1964年に第6代海上幕僚長に就任。日本の海上防衛の指揮を執りました。1966年に退官後、1978年には勲二等瑞宝章を受章しました。

西村友晴は、激戦を生き抜き、戦後の海上自衛隊の礎を築いた人物として、その功績は高く評価されています。

年譜

1927年（昭和2年）4月：海軍兵学校入校
1931年（昭和6年）11月：海軍兵学校卒業、海軍少尉候補生、「浅間」乗組
1933年（昭和8年）4月：海軍少尉任官
1934年（昭和9年）11月：海軍中尉に進級
1937年（昭和12年）11月15日：戦艦「伊勢」分隊長
1937年（昭和12年）12月1日：海軍大尉に進級
1938年（昭和13年）8月5日：呉鎮守府第四特別陸戦隊附兼分隊長
1938年（昭和13年）10月29日：佐世保鎮守府附
1939年（昭和14年）7月27日：駆逐艦「野風」砲術長兼分隊長
1940年（昭和15年）5月1日：駆逐艦「夏潮」艤装員
1940年（昭和15年）8月31日：駆逐艦「夏潮」砲術長兼分隊長
1941年（昭和16年）5月14日：佐世保鎮守府附
1942年（昭和17年）1月10日：戦艦「長門」副砲長兼分隊長
1942年（昭和17年）11月1日：海軍少佐に進級
1942年（昭和17年）11月15日：第三戦隊参謀
1943年（昭和18年）6月1日：軽巡洋艦「長良」砲術長
1944年（昭和19年）3月1日：舞鶴鎮守府附
1944年（昭和19年）3月20日：第二艦隊司令部附
1944年（昭和19年）4月10日：重巡洋艦「愛宕」砲術長
1944年（昭和19年）11月10日：横須賀鎮守府附
1944年（昭和19年）12月20日：佐世保鎮守府参謀
1945年（昭和20年）9月5日：海軍中佐に進級
1945年（昭和20年）11月29日：佐世保鎮守府出仕
1945年（昭和20年）11月30日：予備役に編入、充員召集
1945年（昭和20年）12月27日：佐世保地方復員局艦船運航部部員
1947年（昭和22年）3月20日：佐世保地方復員局人事部勤務
1947年（昭和22年）11月28日：公職追放仮指定
1952年（昭和27年）8月1日：保安庁警備隊に入隊、舞鶴地方総監部警備課長
1953年（昭和28年）9月16日：佐世保地方総監部警備部長
1954年（昭和29年）2月1日：1等警備正に昇任
1954年（昭和29年）7月1日：総務部長兼務
1954年（昭和29年）12月29日：第2護衛隊司令
1955年（昭和30年）8月16日：海上幕僚監部防衛部防衛課長
1959年（昭和34年）7月14日：統合幕僚会議事務局第4幕僚室長
1959年（昭和34年）8月1日：海将補に昇任
1960年（昭和35年）3月16日：同第3幕僚室長
1962年（昭和37年）1月16日：第1掃海隊群司令に就任
1962年（昭和37年）7月1日：海上幕僚監部防衛部付
1962年（昭和37年）7月16日：海上幕僚監部防衛部長
1963年（昭和38年）7月1日：海将に昇任、第5代 海上幕僚副長に就任
1964年（昭和39年）8月14日：第6代 海上幕僚長に就任
1966年（昭和41年）4月30日：退官
1978年（昭和53年）11月3日：勲二等瑞宝章受章
1994年（平成6年）11月13日：逝去（享年86）

栄典

レジオン・オブ・メリット・コマンダー - 1965年（昭和40年）2月
勲二等瑞宝章 - 1978年（昭和53年）11月3日

参考文献

* 『世界の艦船』2002年5月増刊号 海上自衛隊の50年（海人社）

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