西林寺 (松山市)

西林寺について

西林寺（さいりんじ）は愛媛県松山市高井にある真言宗豊山派の寺院で、清滝山（せいりゅうざん）または安養院（あんよういん）とも呼ばれています。この寺の本尊は十一面観世音菩薩で、四国八十八箇所の第48番札所や伊予十三仏霊場の第8番札所としても知られています。

本尊の真言は「おん まか きゃろにきゃ そわか」で、訪れる信者にとっての大切な教えとなっています。また、ご詠歌「弥陀仏の世界を尋ね行きたくば　西の林の寺に詣（まい）れよ」は、西林寺の重要性を物語っています。納経印は本尊や奥の院の杖ノ淵大師、さらに伊予十三仏観世音菩薩が印され、信徒たちの願いを背負っています。

寺の歴史

西林寺は、歴史的に深い意味を持つ寺院であり、伊予の関所寺とも称されます。境内は周辺より低い場所に位置しており、邪悪な者が踏み入れると無間地獄に落ちるとの伝説があります。寺伝によると、聖武天皇の勅願を受け、天平13年（741年）に行基が伊予国国司の越智宿禰玉純と共に「徳威の里」に堂宇を建立し、十一面観世音菩薩を刻んで創建したとされています。

その後、大同2年（807年）には弘法大師空海が寺を現在の地へ移転させた際、地元の人々のために杖の淵から清水を湧き出させたとの言い伝えも残っています。17世紀末には火災によって焼失しましたが、元禄13年（1700年）に松平定直によって再建され、その後も数度の再興が行われました。

境内の構成

境内には、いくつかの重要な建物があります。入母屋造の山門（仁王門）をくぐると、本堂が目の前にあります。噂では、本尊の力が強すぎるため、裏からお参りをする人もいたと言われていますが、現在ではその説は否定されています。ご利益があるとの言い伝えが広まり、拝顔できる脇仏として不動明王立像と毘沙門天立像も祀られています。

また、大師堂は平成20年（2008年）に再建され、大師像とともに興教行大師・専誉僧正を拝顔できます。阿弥陀堂も新たに整備され、阿弥陀如来坐像が中央に鎮座し、閻魔像もあります。境内には遍照殿や孝行竹と呼ばれる親子竹、弁財天池、鐘楼も設けられており、訪れる人々に癒しの場を提供しています。

宿坊と交通機関

宿坊は設けられていませんが、駐車場は20台分あり、大型車も受け入れ可能です。
交通手段は、伊予鉄道の鷹ノ子駅から徒歩約0.8km、バスは南高井バス停が最寄りです。自動車道からは松山ICから約4.5kmの距離にあります。

奥の院

奥の院である杖ノ淵は、空海が村人のために水を湧き出させたとされるスポットです。周辺には多くの番外霊場も点在しており、地域の信仰心を感じることができます。

結び

西林寺は、古い歴史と神秘的な伝承が詰まった寺院です。参拝者はここで心の平穏を見出し、ぜひ訪れる価値のある場所として多くの人々に親しまれています。

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