西武バス練馬営業所

西武バス練馬営業所

西武バス練馬営業所は、東京都練馬区南田中にその拠点を置いています。主に練馬区の東部地域と杉並区の北西部における一般路線バスの運行を担っています。さらに、都内を発着する高速バスや、一部の観光バスもこの営業所に配属されています。池袋駅と新宿駅を山手通り経由で結ぶ路線や、荻窪駅周辺を発着する路線なども当営業所の担当範囲です。

営業所の最寄りバス停は、都営バスや国際興業バスの同名停留所との混同を避けるため、「南田中車庫」と命名されています。近隣に関東バスの停留所がありますが、こちらは「南田中一丁目」として区別されています。

2007年3月18日からは、上石神井、高野台、新座の各営業所と共に、一般路線バスでICカードシステム（PASMO・Suica）の利用が可能になりました。

沿革

西武バス練馬営業所は、1951年に都区内における西武バスとしては2番目の営業所として開設されました。当初は練馬区豊玉北にありましたが、その後の都市化と路線網の拡大に伴い、1968年に現在の南田中へ移転しました。

終戦直後の「西武自動車」発足時、都区内での営業は限定的でしたが、都心方面への路線拡張が進められました。特に都営バスや関東バスとの共同運行による新路線の開設に力が注がれ、練馬営業所は新橋線、丸山線、大久保線といった都心直通路線の一部を担当しました。これらの路線のうち、丸山線と大久保線には関東バスも加わった3社共同運行便も設定されていました。

都心直通路線の他にも、1949年から1954年にかけて成増線や井荻線、鷺ノ宮線など、現在の主要路線の基礎となる区間を含む路線が開業しました。また、同時期には池袋駅から江原町などを経由し新井薬師方面へ向かう「池袋線」も開設されています。1955年には山手通りの開通を契機に中井線（宿20）の運行が始まりました。1959年にかけて新宿線や成池線などが相次いで新設され、新宿・池袋両ターミナルを発着する路線網が強化されました。

1960年代に入ると、練馬区内の宅地化が進み、これに合わせて練馬駅と各地域を結ぶ多数の新路線が誕生しました。環状七号線の開通に伴う免許競願の結果、西武バスは高円寺線の運行も開始しましたが、これは池袋駅と高円寺駅を結ぶ路線が本線でした。相次ぐ新路線の開設により営業所が手狭になったため、1968年に南田中への移転が決行されました。移転に伴い、一部路線の担当営業所変更も実施されています。

交通量の増加によるバスの定時性悪化を受け、1970年代以降は路線整理が行われるようになりました。練馬営業所は、他社の営業基盤が確立された地域に後から参入した路線が多かったこともあり、運行維持が困難となり廃止された路線も少なくありません。

最終的に担当していた都心直通路線のうち、丸山線は1969年、大久保線は1971年に廃止されました。新宿線や成池線、練馬鷺宮線など多くの路線が1960年代後半から1970年代後半にかけて廃止され、西武バスの中野区内における路線は大幅に縮小されました。井荻線は豊島園までの区間が短縮され、成増線や北町線は練馬駅西側の踏切渋滞を避けるため豊島園発着に変更されました。特に北町線は平和台駅開業による乗客減少で1984年に廃止されています。同年に光が丘団地が完成したことに伴い、「光が丘団地線」の運行が開始され、団地の成熟と共に主力路線へと成長しました。

1985年には、他のバス事業者よりも早く高速バス「東京 - 新潟線」が開業し、予想を上回る成果を上げたことから高速バス網が拡大され、練馬営業所はその運行の一端を担うことになりました。1990年代には都営地下鉄12号線（現・大江戸線）の開業による路線整理も実施されましたが、2000年には大江戸線との接続を考慮した土支田循環線のような新路線も開設されています。

2011年5月16日には高野台営業所が統合され、石神井循環線や石神井成増線などが練馬営業所に移管されました。一方、西武観光バス練馬営業所の機能は旧高野台営業所の跡地に移転しました。同時期に、路線バスのLED行先表示器の表示方法も変更されています。2015年3月下旬からは、新たに開発されたカラーLED表示器を搭載した車両も導入されています。

現行一般路線

練馬営業所が運行する主な一般路線は以下の通りです。（路線名称は西武バスでの呼称に基づきます）

団地線: 光が丘団地と成増駅、練馬高野台駅を結ぶ基幹路線。光が丘団地の入居開始に合わせて開設され、光が丘IMAや光が丘駅への乗り入れを経て、経路変更や系統再編が行われ現在の形態となりました。かつては「豊」を冠する系統番号が多く存在しましたが、現在は光31、練高01、練高02などが運行されています。
土支田循環線: 光が丘駅と土支田地区を結ぶ短距離循環路線。2002年に開設され、当初は国際興業バスとの共同運行でした。現在は再び西武バス単独運行となっています。練高03系統は、土支田循環線の入庫回送を営業化したものです。
谷原線、千川線: 南田中車庫、練馬駅、成増町などを結ぶ路線群。練42が本線で、練40、練41、練43が出入庫系統です。練43系統は、南田中地区から駅へのアクセスとして、近年営業便数が増加傾向にあります。
成増線: 練馬駅と成増駅を田柄、下赤塚駅経由で南北に結びます。現存路線では最も歴史が古く、1950年に開業。豊島園以南が廃止された時期もありましたが、池袋線・豊島線の高架化による踏切渋滞解消を受けて、2003年に練馬駅への乗り入れが再開され、現在の練47系統となりました。
新江線: 新江古田駅または練馬駅と大泉学園駅を結ぶ路線。2013年に都営バス新江62系統の代替として新設されました。かつて都営バスと共同運行していた宿62系統の一部区間が西武バスとして復活した形です。
井荻線: 荻窪駅と石神井公園駅、井荻駅、練馬高野台駅などを結ぶ路線群。荻11、荻12系統は関東バスとの共同運行です。荻17系統は、環八通り延伸に伴い西武池袋線と中央線間のより直接的なアクセスとして新設されました。荻12-1系統は、井荻駅を経由し南田中車庫へ向かう出入庫便です。
中井線: 池袋駅東口と新宿駅西口を、目白駅、中井駅、東中野駅経由で結びます。西武バスの一般路線としては最も東側を走る路線です。1955年の山手通り開通に伴い新設されましたが、都営大江戸線との並行や工事の影響などにより、近年は運行本数が大幅に削減され、2024年4月1日からは平日朝1往復のみの運行となっています。
石成線: 石神井公園駅北口と成増駅南口などを結びます（石01は石神井循環）。国際興業バスと共同運行しており、時刻表などが統合されています。石02系統は、石神井公園駅北口発着となっており、かつては石神井庁舎前経由便も存在しました。石04は土支田一丁目までの出入庫便です。
石荻線、上井草循環線: 荻窪駅と石神井公園駅、上井草駅などを結ぶ路線群。石22、荻13、荻14などが運行されています。中央大学杉並高校や農芸高校などへの通学輸送を担うほか、荻16、荻18系統は法務局杉並出張所への通勤輸送も行っています。荻18は上井草駅南側を循環する路線です。

現行高速路線

練馬営業所が担当する主な高速バス路線は以下の通りです。

長岡・新潟線（越後交通・新潟交通と共同運行）
上越線（越後交通・頸城自動車と共同運行）
軽井沢・草津線（京王バスなどと共同運行。西武は一部区間のみ担当）
富山・高岡・氷見線（富山地方鉄道と共同運行。かつての富山線と高岡氷見線が統合）
吉祥寺TDR線（関東バスなどと共同運行）

空港連絡バスとしては、石神井公園駅・和光市駅と羽田空港を結ぶ路線（東京空港交通と共同運行）を担当しています。

所属車両

一般路線車両は、かつて日産ディーゼル/富士重工業製の車両が中心でしたが、現在は三菱ふそう、いすゞ、日野自動車製の車両が主力となっています。近年はノンステップバスの導入が進み、中型車指定路線にも大型車が投入される機会が増えています。高速車両は、日産ディーゼル製やいすゞ製スーパーハイデッカーなどが使用され、路線に応じて3列シート車や4列シート車が使い分けられています。車両のカラーリングも、従来のライオンズカラーからレジェンドブルー一色塗装への変更が進んでいます。

過去には、都営バスや関東バスとの共同運行路線で都心へ直通していた路線のほか、光が丘団地線の旧系統、豊島園発着の路線、練馬と池袋を結ぶ出入庫路線などが存在しましたが、都市計画や乗客ニーズの変化に伴い廃止または経路変更されています。特に、2024年7月31日出発便をもって、池袋駅東口発着の深夜急行バス「Midnight S-tarmine」の運行が終了しました。

練馬営業所は、都心に近接する練馬区・杉並区の住宅地輸送に加え、広域を結ぶ高速バスネットワークの一端を担う、西武バスの中でも重要な営業所の一つです。

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