西田中バスターミナル

西田中バスターミナルと西田中駅：越前町の交通と歴史を巡る旅

福井県越前町朝日地区に位置する西田中バスターミナルは、同町における主要な交通拠点として機能しています。国道417号からアクセス可能なこのバスターミナルには、福井鉄道、京福バス、福井交通のデマンド型交通、そして越前町のコミュニティバスが乗り入れています。複数の事業者が利用する停留所は1箇所に集約され、利用者の利便性を高めています。バスターミナル内には、バスの転回地や駐車スペースに加え、待合所やトイレ、駐輪場なども整備されています。

西田中バスターミナルの歴史は、2006年に越前町コミュニティバスの運行開始、そして京福バスの乗り入れ開始によって大きく発展しました。複数の事業者の参入により、地域住民や観光客の移動手段は飛躍的に向上しました。しかし、福井鉄道の停留所名は「西田中」のままで、「バスターミナル」の名称が加えられていない点が興味深い点です。

バスターミナルに乗り入れる事業者と路線を見ていきましょう。福井鉄道は鯖浦線（廃線）の後継として路線バスを運行しています。京福バスは西田中・宿堂線を運行しており、越前町役場を経由しないため、西田中バスターミナルが役場への最寄停留所となっています。ただし、京福バスには本ターミナルから約800m離れた場所にも「西田中」停留所が存在するため、利用者は注意が必要です。福井交通は予約制のデマンド型交通「ほやほや号」を運行しており、西田中ルートでは京福バスと共通の停留所を利用します。そして、越前町のコミュニティバス「フレンドリー号」は環状ルートを運行し、町内各地を結んでいます。さらに、デマンド型交通「チョイソコえちぜん」も利用可能です。

バスターミナル周辺には、越前町役場や丹南土木事務所、警察署、消防署、県立高校など、多くの公共施設や商店、住宅が密集しており、地域の中核を担っています。

西田中バスターミナルの前身は、福井鉄道鯖浦線の西田中駅です。西田中駅は1926年（大正15年）に開業し、1973年（昭和48年）に鯖浦線の全線廃止に伴い廃駅となりました。相対式ホーム2面2線の地上駅で、木造の駅舎を有していました。鯖浦線の廃止は、地域の交通にとって大きな変化をもたらしたと言えるでしょう。

西田中駅は、川去駅と佐々生駅に挟まれた位置にあり、地域の生活路線として重要な役割を果たしていました。駅の周辺には、多くの住民が生活しており、日常の足として利用されていました。駅舎は木造で、古き良き時代の面影を残していました。廃線後は駅舎も取り壊され、現在は面影を残すものはほとんどありませんが、西田中バスターミナルとして、地域の交通を支え続ける姿は、地域の変遷と発展の歴史を物語っています。

現在、西田中バスターミナルは、越前町朝日地区の交通の要として、そして、かつて存在した西田中駅の記憶を受け継ぐ場所として、重要な役割を担い続けています。多様な交通手段が集約され、利便性の高い拠点として、地域の活性化に貢献しています。

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