西葛西

東京都江戸川区の西葛西

西葛西は、東京都江戸川区の南西部に位置し、葛西地域に属する町名です。一丁目から八丁目までが住居表示実施済区域として整備されています。荒川と中川に挟まれた場所に位置し、かつては東京湾に面していましたが、埋め立てにより内陸となりました。面積は1.9888平方キロメートルで、江戸川区内では6番目に大きな町です。

地理

西葛西は、北を北[[葛西]]、南を臨海町、東を中[[葛西]]、西を清新町と接しています。また、荒川と中川を挟んで江東区東砂と隣接しています。東京湾からは約1.5kmしか離れておらず、海抜ゼロメートル地帯に位置していますが、臨海町や清新町は盛り土によって水面上に作られているため、海没の心配は比較的少ないと言えます。ただし、過去には地盤沈下が深刻で、特に西葛西二丁目では1968年に年間23.89cmも沈下した記録があります。これは、南関東ガス田の採掘に伴う地下水汲み上げが原因とされています。

住宅街

西葛西は、江戸川区内で最も人口が多い町であり、2017年1月時点で2万2464世帯、4万5347人が暮らしています。1979年の東京メトロ東西線西葛西駅の開業が住宅街の発展を後押ししました。駅周辺には、戸建て住宅よりもマンションやアパートなどの集合住宅が多く、特に三丁目は人口密度が高い地域です。駅の北側には、都市再生機構（UR）の大規模団地「小島町二丁目団地」があります。

在留インド人

2000年代以降、西葛西には多くのインド人が居住しており、「日本におけるインド」としてメディアで注目されています。2018年の外国人登録者数は約3万5000人で、その約1割が江戸川区に住んでいます。インド人IT技術者が増えた背景には、2000年問題への対応があります。当時、住居探しに苦労していたインド人に対して、UR都市機構が西葛西や清新町などの団地入居条件を緩和し、英語対応のエージェントによる紹介を許可しました。また、貿易商のジャグモハン・チャンドラニ氏が地元不動産会社との交渉を助けたこともコミュニティ形成に貢献しました。インド人が増えるにつれて、インド料理店や雑貨店も増え、西葛西駅周辺には北インド料理と南インド料理の店が混在しています。2006年にはグローバル・インディアン・インターナショナルスクールが開校し、国際的な教育を求めて日本人の生徒も多く通っています。2019年には、インド出身のプラニク・ヨゲンドラ氏が江戸川区議会議員に初当選しました。

産業

西葛西には1140の事業所があり、1万5161人が働いています。事業所数は区内3位ですが、従業者数は1位です。業種は卸売・小売業、宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス業、医療福祉、運輸業、不動産業などが多く、情報通信業、教育・学習支援業、金融・保険業の比率が区の平均よりも高い一方で、製造業、複合サービス事業、建設業は低い傾向にあります。

地価

2024年1月1日の公示地価によれば、西葛西の住宅地は1平方メートルあたり39万2000円から55万1000円となっています。

歴史

西葛西は20世紀後半まで東京湾に面しており、葛西浦や葛西海岸と呼ばれていました。かつては島が点在しており、江戸時代までは人家もまばらでした。治水の問題も深刻で、1910年の大水害を機に、荒川放水路が作られ、1957年には葛西海岸堤防が完成しました。1972年からの葛西沖開発事業によって埋め立てが進み、現在の西葛西が形成されました。交通の便も悪かったのですが、1963年に葛西橋が完成し、1969年に東京メトロ東西線が全線開通したことで、大きく発展しました。ただし、西葛西駅の開業は1979年です。

2010年代には、企業の移転や施設の閉鎖が相次ぎましたが、2000年代には、明治安田生命西葛西研修所やNTTDATA葛西テクノビルが建設され、西葛西駅の大規模改善工事も行われました。また2012年には、客引き行為等を禁止する区域に指定されました。

世帯数と人口

2024年8月1日現在、西葛西の世帯数は26,039世帯、人口は55,354人です。人口と世帯数はともに増加傾向にあります。

学区

西葛西には、区立の小学校と中学校があり、学校選択制度により区内全域から学校を選ぶことが可能です。

事業所

2021年の調査によると、西葛西の事業所数は1,140、従業員数は15,161人です。事業所数、従業員数ともに増加傾向にあります。

交通

西葛西には東京メトロ東西線の西葛西駅があり、都心へのアクセスが良いです。また、都営バスが多数運行しており、近隣地域への移動も便利です。葛西地域は平坦なため、自転車も利用しやすいです。西葛西駅には有料の地下駐輪場があり、駅周辺は自転車放置禁止区域に指定されています。

道路

西葛西には、葛西橋通り、放射16号線、船堀街道、葛西中央通りなどの主要道路があります。

施設

西葛西には、西葛西図書館や南部粗大ごみ持込施設などの公共施設があります。また、江戸川区球場や総合レクリエーション公園など、スポーツ施設も充実しています。

教育

西葛西には、滋慶学園グループが運営する専門学校が多くあります。また、江戸川区立の小学校や中学校も複数あります。

宿泊施設

西葛西駅周辺には、ビジネスホテルや観光客向けのホテルが多数あります。これらのホテルは、東京ディズニーリゾートや葛西臨海公園へのアクセスに便利です。

商業施設

西葛西には、サニーモールやイオン葛西店などの大型店があります。また、地元のスーパーマーケットや飲食店も多く、買い物には困りません。かつては食品スーパーの激戦区でしたが、現在は周辺地域との競争が激化しています。

史跡

西葛西には、小島八幡神社や葛西海岸堤防記念碑などの史跡があります。かつて海岸線だった場所は、親水公園として整備されています。

その他

西葛西の郵便番号は134-0088で、葛西郵便局が管轄しています。

出身人物

作家の乙武洋匡氏が、西葛西で育ちました。

西葛西は、都心へのアクセスと豊かな自然環境が共存する魅力的な街です。活気ある商店街や多様な文化、歴史と新しいものが融合した、住みやすい街として発展を続けています。

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