西貢丸 (特設巡洋艦)

西貢丸の歴史と特設巡洋艦としての役割

西貢丸（さいごんまる）は、大阪商船が所有し運航していた貨客船であり、太平洋戦争においては特設巡洋艦として使用されました。厳密には「特設巡洋艦兼敷設艦」という分類に位置づけられ、戦争中の任務の多くは敷設艦としてのものでした。そのため、沈没するまで艦種類が変更されることはありませんでした。日本海軍における最後の特設巡洋艦とも言える存在です。また、西貢丸は大阪商船が所有した二代目の船にあたります。初代西貢丸は1901年にイギリスで建造され、1912年に大阪商船が購入し、1923年に売却されました。

建造と運用の背景

西貢丸は、1936年12月9日に三菱神戸造船所で起工し、1937年4月28日に進水、同年9月30日に竣工しました。この船は、日中戦争が勃発した後に民間船の徴傭が進む中で、1937年9月に開設されたサイゴン・バンコク急航線に従事するためのものでした。初めての航海は10月15日に行われましたが、戦争の影響により、開航からわずか1年で休航に追い込まれました。その後、西貢丸は大阪大連線の補助船として活躍しました。

特設巡洋艦への徴傭

1941年8月21日、日本海軍に徴傭された後、西貢丸は呉鎮守府籍となり、1941年9月20日付で特設巡洋艦として正式に入籍しました。その後、播磨造船所において艤装工事が行われ、兵装には12センチ砲4基、機銃、機雷500個が搭載されました。特設巡洋艦となった西貢丸は、呉警備戦隊に配属され、防衛業務や潜水艦の対策を行ったり、母艦任務を遂行する役割を担いました。

敷設作業と戦歴

開戦直後には豊後水道や紀伊水道で防備機雷を敷設し、以降も西貢丸は呉防備戦隊の主力として志布志を拠点に活動しました。特に1943年の春には、アメリカ潜水艦による脅威に対抗するため、黄海に対潜機雷礁の敷設作業に従事しました。この時、他の特設艦船と協力し、様々な機雷礁を構築し続けています。

最期の瞬間

1944年7月、西貢丸は南西方面艦隊の指揮下に入り、フィリピン方面で行動を開始しました。しかし、その後、アメリカ潜水艦「フラッシャー」に見つかり、攻撃を受けることに。1944年9月18日、数発の魚雷を受けて沈没し、戦歴を閉じました。西貢丸は、艦長や乗員が戦争の激流の中でどのように戦ったのかを物語る、歴史的な艦船の一つです。戦後、彼の足跡は海軍の歴史に刻まれ、多くの資料に残されています。

参考文献

• - アジア歴史資料センター
• - 『日本商船隊戦時遭難史』
• - 海軍歴史保存会『日本海軍史』

このように西貢丸は、ただの貨客船から特設巡洋艦として激動の歴史をたどり、戦争の影で多くの役割を演じた船であったと言えます。

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