覚助 (仏師)

覚助（かくじょ）は、平安時代中期から後期にかけて活躍した仏師であり、生年は不明ながら承暦元年（1077年）10月に没しました。定朝の子、または弟子であったと伝えられています。覚助は、七条仏所の祖としても知られています。

覚助の名が史料に初めて登場するのは、康平2年（1059年）の法成寺阿弥陀堂・五大堂の造仏に関する記録です。その後、治暦3年（1067年）には興福寺金堂などの造仏に携わり、その功績によって法橋に任じられました。翌年の治暦4年（1068年）には、さらに位を進めて法眼となっています。

しかし、承暦元年（1077年）、法勝寺の造営中に覚助は志半ばで亡くなってしまいます。その後、法勝寺の造営は弟子の院助によって引き継がれ、完成に至りました。

覚助の作品として確証が得られているものはありませんが、延久3年（1071年）に復興された祇園社観慶寺の旧本尊であった薬師如来像（現在は大蓮寺に所蔵、重要文化財）が、覚助の作であると推定されています。この薬師如来像は、覚助の作風を知る上で貴重な手がかりとなります。

また、『古事談』には、覚助にまつわる興味深い逸話が収録されています。それによれば、覚助は師である定朝から義絶されてしまいますが、左近衛府に献上するために定朝が制作していた陵王の面を、留守中に自ら手直ししたといいます。この大胆な行動が定朝に認められ、勘当を許されたと伝えられています。このエピソードは、覚助の才能と情熱を示すものとして広く知られています。

覚助は、定朝様式を受け継ぎながらも、独自の表現を追求した仏師であったと考えられています。その作品は現存こそ少ないものの、平安時代の仏教美術に大きな影響を与えました。七条仏所の祖として、後世の仏師たちに多大な影響を与えた覚助の功績は、今日においても高く評価されています。

参考文献
* 京都国立博物館編集 『院政期の仏像 ─定朝から運慶へ─』 岩波書店、1992年 ISBN 4-00-008058-X

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