覚満淵

覚満淵：赤城山に広がる高山植物の楽園

群馬県前橋市赤城山にある覚満淵は、標高約1360メートルに位置する、周囲約800メートルの湿原です。大沼の南東約600メートル、小沼の近くという絶好のロケーションにあり、「小さな尾瀬」や「小尾瀬」と呼ばれることもあります。

古くは湖であったと伝えられており、現在見られる湿原は、覚満川を通じて大沼へと水が流れ出た結果形成されたと考えられています。大沼の一部であったとする説や、かつては一つの湖であったとする説など、その成り立ちについては様々な解釈があります。地名である「覚満淵」は、平安時代に比叡山延暦寺の高僧であった「覚満」という人物に由来します。彼はこの地で法会を行ったと伝えられています。

覚満淵の最大の魅力は、豊かな自然です。湿原には、高山植物やコケ植物が豊富に群生しており、四季を通じて変化に富んだ美しい景観を楽しむことができます。春の訪れを告げるミズバショウ（3月頃）、新緑が美しい5月、鮮やかなレンゲツツジが咲き誇る初夏（6月頃）、そして燃えるような紅葉が山を彩る秋（10月頃）と、それぞれの季節に合わせた見どころがあります。

植物の種類も多様で、モウセンゴケやニッコウキスゲといった希少な植物も見られます。湿原の泥炭層が薄い場所では、ススキやズミなどの低木林が広がり、多様な植生が織りなす景観は、訪れる人々を魅了します。

覚満淵を巡るには、湿原を一周する木道が整備されているため、安全に散策を楽しむことができます。赤城公園ビジターセンターから徒歩約30分というアクセスも良好で、気軽に自然に触れ合うことができます。また、覚満淵を見下ろすことができる鳥居峠の高台からは、大沼まで見渡せる素晴らしいパノラマが広がり、赤城山の雄大な自然を満喫できます。

覚満淵から流れ出る覚満川は、大沼を経て沼尾川となり、最終的に利根川へと注ぎ込みます。この湿原は、赤城山の豊かな水循環システムの一部として、重要な役割を担っていると言えるでしょう。

覚満淵は、手軽に自然散策を楽しめ、四季折々の美しい景色と多様な動植物を観察できる貴重な場所です。赤城山を訪れた際は、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。

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