角源泉

角源泉（すみ げんせん）は、1871年（明治4年）10月31日に和歌山県東牟婁郡三輪崎村で生まれ、1942年（昭和17年）8月14日に70歳で亡くなった、日本の政治家、官僚です。衆議院議員、新宮市長を務めたほか、台湾総督府においても重要な役割を果たしました。また、思想家・評論家として知られる山本七平の大叔父にあたります。

生い立ちと初期のキャリア

角源泉は、角三郎左衛門の三男として誕生しました。1888年（明治21年）頃に上京し、河津祐之の書生として生活を始めます。1893年（明治26年）には、和仏法律学校（現在の法政大学）仏語法律科を卒業しました。その後、1897年（明治30年）に判事検事登用試験と文官高等試験に合格し、和歌山地方裁判所の検事代理に任用され、法曹界でのキャリアをスタートさせました。

官僚への転身と台湾での活躍

司法官を辞した後、角は通信官僚へと転身します。1911年（明治44年）には台湾総督府事務官、台湾総督府通信局長心得を経て、1913年（大正2年）に台湾総督府通信局長に就任。さらに1915年（大正4年）には台湾総督府土木局長に任命され、台湾のインフラ整備に貢献しました。1919年（大正8年）には台湾電力副社長、大阪市電気局長に就任し、電気事業の発展に尽力しました。

政界への進出と晩年

1920年（大正9年）に官職を辞した後、角は政治の世界に足を踏み入れます。総選挙に三重9区から出馬しましたが、落選しました。しかし、1933年（昭和8年）には初代新宮市長に就任し、1935年（昭和10年）まで務めました。その後、1936年（昭和11年）には第19回衆議院議員総選挙に三重2区から出馬し当選を果たしましたが、続く第20回衆議院議員総選挙では落選しました。

1942年（昭和17年）8月14日、角源泉は東京大学医学部附属病院で亡くなりました。享年70歳でした。

栄典と著書

角は、1908年（明治41年）に正六位に叙せられました。また、『電力問題: 民有国営案を難ず』（1936年）や『電力管理案の難点』（1939年）などの著書を通じて、電力問題に関する自身の見解を示しました。

参考文献

稲垣武著の『怒りを抑えし者―「評伝」山本七平』（PHP研究所）には、角源泉に関する記述が含まれています。

角源泉は、法曹界から官僚、そして政治家へと転身し、多岐にわたる分野で活躍した人物でした。その生涯は、明治から昭和初期の激動の時代を反映しています。

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