許 (姓)

許（きょ、ホ、허）について

許は、中国と朝鮮半島にみられる姓です。それぞれの地域で異なる歴史と文化的な背景を持っています。

中国の許氏

中国において、許は比較的多い姓の一つです。2020年の調査によると、中国で26番目に多い姓で、およそ890万人がこの姓を名乗っています。台湾でも11番目に多い姓であり、約55万人がいます。北京語では、発音が似ている「徐」と区別するために、「言に午の許」と呼ばれることがあります。

許氏のルーツと歴史

許氏のルーツは古代に遡り、河南省登封市箕山周辺が発祥の地とされています。この地には、許氏の始祖を祀る墓や関連する史跡が残されています。

許氏の堂号としては、「洗耳堂」「得仁堂」などが知られています。これらの堂号は、許氏の家訓や祖先の教えを反映しており、一族の精神的な支柱となっています。

また、許氏の郡望（ルーツとなる地）としては、「汝南郡」「高陽郡」など、中国各地に広がっています。

中国の著名な許氏

歴史上の人物としては、後漢の儒学者であり文字学者でもある許慎が有名です。彼は、中国最古の辞書『説文解字』を著しました。その他にも、三国時代の武将である許褚、唐の官僚である許敬宗などがいます。

現代では、チェス選手の許昱華、植物学者の許智宏、女優の許晴などが知られています。香港では、映画監督のアン・ホイ（許鞍華）や俳優のマイケル・ホイ（許冠文）兄弟が活躍しています。

朝鮮の許氏

朝鮮半島における許氏は、古代の金官伽倻の始祖である首露王の妃、許黄玉にルーツを持つとされています。許黄玉は、インドの王女であり、船に乗って朝鮮半島に渡り、首露王と結婚したと伝えられています。

許黄玉の息子たちは、それぞれ金海金氏と許氏を名乗るようになり、現在でも両家は婚姻を避ける習慣があります。また、許氏の家系からは、仁川李氏も輩出されています。

朝鮮の許氏の歴史

許氏は、高麗時代から朝鮮時代にかけて多くの文官や武官を輩出し、社会的に重要な役割を果たしました。特に、朝鮮時代には、文科及第者が122人、宰相を6人輩出しており、名門の家柄として知られています。

朝鮮の著名な許氏

朝鮮半島の許氏には、歴史上の人物として、高麗時代の許康安、李氏朝鮮時代の医者である許浚、文人の許筠などがいます。現代では、政治家の許政、実業家の許鼎九、漫画家のホ・ヨンマン、サッカー選手の許丁茂など、各界で活躍する人物が多数います。また、K-POPグループのメンバーとしても、ホ・ヨンジ（KARA）、ホ・ヨンセン（SS501）、ホ・ユンジン（LE SSERAFIM|LE_SSERAFIM）などが活躍しています。

まとめ

許氏は、中国と朝鮮半島にまたがる歴史ある姓です。それぞれの地域で異なる文化的な背景を持ちながらも、多くの著名人を輩出しています。許氏の歴史と文化は、東アジアの歴史と文化を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

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