許允

許允の生涯と業績

許 允（きょ いん、? - 254年）は、中国の三国時代に活躍した魏の政治家で、その名は特に冀州河間国高陽県に由来しています。彼の字は士宗であり、父の許拠、妻に阮氏、息子には許奇と許猛がいます。二人の娘もおり、王堪と阮瞻の妻となっています。

経歴

許允に関する詳しい記録は、『魏略』や『魏氏春秋』にまとめられています。彼は名家の出身で、若い頃から冀州で知られる存在でした。王朗が司空にあった220年ごろ、掾の鄭袤から推薦を受け、軍に入ります。その後、明帝の治世においては吏部郎の職に就きました。

ある日、曹叡明帝は、許允に対する郡守選出に疑念を抱き、彼を呼び出しました。この時、妻である阮氏からの忠告に従い、許允は任期や任命書の到着時期について明快に説明しました。そのおかげで明帝の疑念は解消され、結果的に彼は「清吏である」として新しい衣服を賜ることとなりました。『世説新語』でも似たような逸話が伝えられていますが、奇しくもその内容は異なります。その逸話では、有能な同郷の者を推薦しただけだと弁明し、結果的には不問にされました。

また、彼の友人として知られる石苞とも長い付き合いがあり、石苞が小県の長を希望した際には、彼の能力を称え、朝廷での役職を目指すよう促しました。

尚書選曹郎の職に就いていたある時、許允は同僚の袁侃とともに厳しい取り調べに連なることとなりました。許允は袁侃が功臣の子であることから、懲罰が軽くなることを見越し、彼を説得して自らが重い罪を受けることにしました。やがて刑期を満了し、政界に復帰し、郡太守や侍中を歴任しました。

249年の正始政変の際、侍中として曹爽に仕官していた許允は、不穏な状況を見極め、陳泰と共に司馬懿に降伏するよう勧めました。そして251年には、司馬師が政権を掌握すると、彼は王基から推薦される形で重用され、中領軍にまで昇り詰めます。

しかし、彼はある時に偽の詔を受け取る事態に見舞われました。その内容は「夏侯玄を大将軍、許允を太尉に任じる」というものでしたが、彼はこれを司馬師に報告せず、自ら焼却しました。

254年、李豊によるクーデターの騒ぎが起こると、許允は大将軍・司馬師の元に向かおうとしましたが、妨げられ、ついには戸惑いの末、司馬師から疑念を抱かれる結果となります。その後、朝廷からの辞令で鎮北将軍に任命され、期待感を抱くも、過去の横領疑惑により収監されることになります。最終的には楽浪郡に流罪となり、途中で息を引き取りました。

許允は初めて妻の阮氏に対して冷淡でしたが、共に過ごすうちに彼女の知恵に感服し、互いに尊敬し合う関係になりました。二人の間には複数の子女が生まれ、彼は妻の助言を重視していたことが知られています。

彼の死後、彼の子供たちも危機に直面しましたが、阮氏の賢明なアドバイスにより難を逃れました。その後、泰始年間に息子の許奇が武帝・司馬炎によって登用されるなど、許允の血筋は高官に登ることとなりました。著名な政界での功名と人間関係の巧妙さが評価された許允の生涯は、後の時代においても語り継がれています。

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