諏訪頼郷

諏訪頼郷：武功と家老職を歴任した江戸時代前期の武士

諏訪頼郷は、江戸時代前期を代表する武士の一人です。慶長2年（1597年）、信濃国諏訪藩初代藩主・諏訪頼水の次男として誕生しました。兄は2代藩主の諏訪忠恒です。母は本多康重の娘という名家の子女であり、頼郷自身も恵まれた環境で育ちました。正室は内藤政長の養女で、正木康盛の娘でした。

頼郷の生涯は、武功と家臣としての忠勤に彩られています。慶長17年（1612年）には将軍徳川秀忠に拝謁し、その存在感を示しました。続く大坂の陣では、慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では土岐定義軍に属し、翌年の大坂夏の陣では兄・忠恒と共に参戦しました。これらの戦役への参加は、頼郷の武人としての資質と、家臣としての忠義を物語っています。

武功だけでなく、家臣としての出世も著しく、元和6年（1620年）には御小姓組に列し、廩米500俵を賜りました。翌年には組頭へと昇進し、着実に地位を上げていきました。その後も、頼郷の能力は高く評価され続けました。慶安元年（1648年）には要職である御書院番頭を務め、翌慶安2年（1649年）には、旗本から転じて徳川綱重の家老に任じられました。この任命は、頼郷の忠誠心と能力が徳川家によって高く評価された証左と言えるでしょう。

家老就任と同時に、武蔵国と上野国で3000石を領しました。さらに寛文元年（1661年）には、領地が甲斐国巨摩郡と信濃国佐久郡へと変更され、石高も6000石に増加しました。この領地と石高の増加は、頼郷が徳川家において重要な役割を担っていたことを示す明確な証拠です。

頼郷は、寛文9年（1669年）、73歳でこの世を去りました。その生涯は、戦場での武功と、家臣としての忠勤、そして着実な出世という、三つの側面から評価できます。彼の功績は、後世に語り継がれるべきものと言えるでしょう。法名は性言、麻布の春桃院に葬られました。

彼の生涯を知る上で重要な史料として、『寛政重修諸家譜 巻第351』や『諏訪家譜』（『諏訪史料叢書』巻27）などが挙げられます。これらの史料は、頼郷の生きた時代背景や、彼を取り巻く人間関係、そして彼の功績を詳細に記述しており、頼郷の生涯を深く理解する上で不可欠な情報源となっています。

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