諫早茂門

諫早茂門（いさはや しげかど）

諫早茂門は、江戸時代前期に肥前国佐賀藩に仕えた武士であり、諫早鍋島家の5代目当主です。寛文3年（1663年）に諫早茂真の四男として生まれました。諫早家は、藩主である鍋島氏の旧主君であった龍造寺氏の一族であり、その血筋から藩内で大きな影響力を持っていました。家紋は「上り藤」を使用し、代々藩主から「茂」の字を拝領していました。

龍造寺氏の一族として、諫早家は藩内で大名並みの二万六千石の知行を有し、その影響力は非常に強いものでした。茂門の祖父である諫早茂敬の生母は、鍋島直茂の三女である彦菊であり、鍋島家との縁も深い家柄でした。

生涯

寛文12年（1672年）8月6日、父である諫早茂真が亡くなったため、四男でありながら嫡出の男子として、9月1日に家督を相続しました。この時、茂門はまだ幼く、藩内での期待も大きかったことでしょう。

延宝元年（1673年）には、イングランド船「リターン号」が日英貿易の再開を求めて長崎に来航しました。この際、長崎港の警備のために鉄砲隊を編成し、諫早から兵を派遣するという重要な役割を果たしました。当時、外国船の来航は日本の治安にも関わる重大な事態であり、その警備は藩の重要な任務でした。

しかし、茂門は延宝8年（1680年）3月17日に、わずか18歳という若さでこの世を去りました。菩提寺である天祐寺に葬られ、その短い生涯を閉じました。家督は、実弟である茂照（茂元）が相続することになりました。

諫早陣屋について

諫早家は代々、諫早城を居城としていましたが、茂門の時代に財政難を理由に城を破却し、東麓に新たに諫早陣屋を築いたという記述が一部の文献に見られます。しかし、茂門は延宝8年（1680年）に死去しており、実際に陣屋を築いたのは元禄12年（1699年）に当主であった7代目の諫早茂晴です。これは文献の誤りであると考えられます。

まとめ

諫早茂門は、若くして亡くなったものの、その短い生涯の中で、諫早家の当主として、また佐賀藩の武士として、重要な役割を果たしました。龍造寺氏の血を引く家柄と、その高い影響力は、当時の社会において重要な存在であったと言えるでしょう。

参考文献

長崎県の地名
小城藩日記データベース

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