諸葛靚

諸葛靚について

諸葛靚（しょかつ せい、生没年不詳）は、中国の三国時代において魏と呉に仕官した武将で、字は仲思です。彼は徐州琅邪郡陽都県出身であり、同族には著名な諸葛瑾や諸葛亮がいます。彼の父は諸葛誕であり、兄弟には諸葛頤と諸葛恢がいます。さらに、晋の武帝司馬炎との幼き友人関係もあった。

生涯の歩み

諸葛靚の人生は、父が司馬昭に対し反乱を起こした際に始まります。魏の甘露2年（257年）に、父と共に人質として呉に送られた彼は、甘露3年（258年）に父が討死し、家族が殺されたことから、呉に留まり仕官の道を選びました。

しかし、彼の出世物語は、孫晧が皇帝に即位したことで本格的に始まります。彼は重用され多くの官職を歴任し、最終的に右将軍に昇格しました。呉の甘露元年（265年）には、荊州への遷都に伴い、建業の防衛を任されました。

また、宝鼎元年（266年）、山賊の反乱に対抗し、諸葛靚は軍を指揮し、施但と対峙しました。彼の勇敢な行動により、孫謙を保護することができましたが、悲劇的にも孫謙は自ら命を絶ってしまいました。

続いて、宝鼎3年（268年）に合肥を攻撃する命令を受け、丁奉と共に軍を進めましたが、戦闘は難航し、晋の軍に撃退されてしまいます。彼の生涯で特に注目されるのは、天紀4年（280年）の戦です。晋軍による大規模な攻撃に際し、彼は大司馬として3万の兵を指揮し、勝利を収めるものの、さまざまな内外の要因で次第に苦境に陥ります。最終的、諸葛靚は敗残兵を集めて撤退を図り、同時に張悌を説得しようとしましたが、彼は拒絶しました。その結果、張悌は戦死し、諸葛靚は降伏を余儀なくされました。

その後の人生

呉が滅ぶと、司馬炎は彼を侍中に迎えようとしたものの、諸葛靚はこれを固辞し、隠れた生活を送りました。彼は晋に対する恨みを忘れず、洛陽を一度も見ようとはしませんでした。

逸話と評価

諸葛靚の生涯には多くの逸話が残っています。ある宴会で、孫晧に「あなたはどのような思いを持っているのか？」と問われた際、彼は「家では孝行を、君主に対しては忠実を、友には信をもって思っている」と端正に答えました。このエピソードからも彼の性格がうかがえます。

呉が滅んだ後も、司馬炎は諸葛靚との連絡を試みましたが、彼は応じませんでした。この時、彼はかつての恩人に対し、複雑な感情を抱えていたことが伺えます。特に、彼が「私には自ら特定の人を討つことはできず、今日再会したのはこれも運命です」と涙を流したエピソードは有名です。

評価としては、諸葛靚は文雅かつ端正であり、才能と徳を兼ね備えていたと言われています。また、「忠孝の道を理解するには、彼のような人を見て初めて知ることができる」と後世からも称賛を受けました。

彼の子供、諸葛恢は西晋・東晋に仕官し、名臣として知られ、更なる家系の繁栄へとつながりました。

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